Marrakesh-Morocco

モロッコでは農村部で生活する人の3分の2が、一時的貧困のリスクと隣り合わせの生活を送っている。これに都市部の人口を含めれば、全国で530万人にも上る[1]

2030年の貧困撲滅を目指す中、貧困削減だけでは十分ではなく、貧困に再び舞い戻ってしまう状況を打開する政策が必要とされている。

こうした状況を踏まえ、世界銀行は貧困層と脆弱層(貧困に陥るリスクがある人々)の保護を目的に社会保障制度整備を実施する(Identity and Targeting for Social Protection Project)[2]。セーフティーネットを整備することによって、貧困の撲滅に寄与する考えだ。融資額は100百万ドル(約100億円)。貸付期間は25年で、据置期間は5年の大型案件だ。

具体的な使途は、国民登録システム(National Population Register: NPR)の開発とシステム運用の能力強化である。このシステムを通じて、全国民がID番号(Unique Identifying Number: UIN)を付与され、社会保障プログラムの受益者選定(ターゲティング)等に活用されることが見込まれる。

世界銀行はこのプロジェクトによって、既存の貧困削減プログラムの効果が倍増することを見込んでいる。

[1] Eurasia Review. 2017. Morocco To Receive $150 Million From World Bank.
[2] World Bank. 2017. Morocco – Identity and Targeting for Social Protection Project.

Povertist


記事提供元:モロッコが社会保障制度を強化、世界銀行がID登録システムを整備The Povertist

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Ippei Tsuruga
The Povertistの編集長。アジアやアフリカでの開発援助業務に従事する貧困分析・社会政策のスペシャリスト。国際労働機関(ILO)児童労働撤廃プログラムインターンの後、国際協力機構(JICA)入構。アフリカ部ケニア、ソマリア、ナイジェリア国担当、研究所リサーチオフィサー、研究調整者、副調査役を経て、アメリカ事務所駐在員。現在は、ILOで開発途上国の貧困層に対する社会保障制度設計に従事している。香川大学法学士、英国サセックス大学開発学研究所貧困と開発修士。