なぜケニアに最新設備を導入?

image1
病院にあるシーメンス社製のCT。フォレストジャパンの設備はすべて新品で、中古品は使われていない。 

武居氏の変わらない意志がケニアでの病院設立に辿り着いた。しかし、なぜケニアで最新の医療設備を持ち込んだのか。武居氏は合理的な理由を挙げて説明をしてくれた。

「確かに中古の設備を使う病院はこちらにたくさんあります。ただ、僕が設備を導入するにあたって一番に考えたことは現地でメンテナンスができるか、パーツの交換ができるかです。基本的にはケニアでもメンテナンス可能な信頼している日本医療メーカーの機器から選び、そうでない場合は海外メーカーのものを導入しました。中古医療設備ではメンテナンスが行えない場合があり、診断の精度に大きく影響してきます」

信頼できる良い設備を使えば、一発で診断が確定できることも多々あるという。中古品ではそれが難しく、診断にも不安が残る。高度な医療を実現するためには、最新設備を導入し、メンテナンスを行える環境を作ることの方が理にかなっており、医師としてのこだわりがそう決めさせた。

「病院が軌道に乗るには5年、最低でも3年は必要です。しかも、ケニアはタイムスパンが違うから、地道にやっていく必要があります」

病院経営者と医師という二つの肩書きがありながら、武居氏は一貫して医師としての立場を貫いている。今回の投資額について聞いてみても「まあ、お金のことはいいじゃないですか」と朗らかに笑った後、こっそりと数億円単位であることを明かしてくれた。企業であれば工場が一つ建てられる金額だ。

医師として、腰を据えてケニア医療に向き合う覚悟はすでにできている。

フォレストジャパンの挑戦が持つ価値

医師として自らの信念を貫く武居氏であるが、現在でもスラムでの精力的に巡回診療を続けており、病院のスタッフからは「あんまりスラムばかり歩いて大丈夫か」と心配されるほどである。他の病院とも積極的に交流し、ケニア医療の現場を熟知しているが、現状については次のように考えている。

「ケニア人医師も悩んでいますね。欧米に比べれば医療水準は低い、機材も少ない、けど本当はもっともっとやりたい!という方と会うことは多いですね。みんなそう思っていると思います。勉強したいケニア人医師も多い。しかし、奨学金の制約や資金不足でなかなかそれができないということも多い。困難はありつつも、モチベーションが高いケニア人も多いですよ」

ケニアにはアガカン病院やナイロビ病院などの高価格病院があるが、それらの病院と比較した際にもフォレストジャパンの存在意義は際立っている。

「アガカン病院やナイロビ病院と比べても、うちの方が細かく丁寧な診療ができますね。うちの何倍のお金をとっているけども、診療がアバウトです。料金設定については、調べられるだけ調べて、それよりも安くしました。なかなか料金を教えてくれない病院が多かったんですが、知り合いからの情報を集めました。」

元々はケニア人にとって気軽に利用できるように設立された病院のため、診察料は同じ医療水準の病院よりも低く設定されている。そのため最近は高所得者層だけはなく、中間層の利用者も増えてきているという。また、リピーターの患者が口コミでフォレストジャパンの評判を広め、徐々に認知されてきていると実感している。

最後に武居氏に、なぜ医師としてこのような挑戦を続けているのかについて質問をした。

「要するにね、僕は医師という仕事が好きだから。僕が頑張れば助かるじゃないですか、患者さんが。不思議とね、一生懸命頑張って信頼があれば、たとえ患者さんが助からない場合でも家族の方は喜んでくれるんですよ。それはつくづく思います。結果が駄目でもそれは分かってくれるんですよ。医師として医療を提供することに専念するだけです」

フォレストジャパンはケニアに住んでいる日本人の間で、未だ認知度が高いとはいえない。しかし、近い将来ケニアの病院選びのファーストチョイスになる日もくるだろう。アフリカで初となる大型日本医療法人の挑戦を支えているものは、医師として得られる素朴な喜びと力強い信念なのかもしれない。

以下はフォレストジャパンのウェブサイトURLになります。診察を考えられている方はご参照ください。病院に電話をすれば、日本人スタッフが対応していただけます。


1  2

The following two tabs change content below.
長谷川 将士

長谷川 将士

株式会社グラスルーツウォーカーズ代表取締役CEO
二十歳からケニアでフィールドワークを続け、大学院時代に行った調査が共著論文として書籍に掲載されています。専門はアフリカ政治経済学(特に紛争及び市民暴力)。最近は中間層論と経済成長論に関心有り。日本のアフリカ報道と学術研究やフィールドワークから見えるアフリカ像が大きく異なることに疑問を抱き、エビデンスに基づいた現場発信型メディアを立ち上げるべく、ケニアで奮闘しています。弊社ジャーナルサイトは平日、正午に更新していますのでご一読ください。