アフリカにおけるスタートアップの資金調達の現状とは!?課題と解決策を考察する!

起業家の視点から考察!

以上のファンドの話は、資金調達の格差が供給側の問題ではなく需要側の問題であることを示唆している。アフリカ大陸では、インドのスタートアップと同じ規模の資金需要を持つスタートアップの数が不十分ということである。

アフリカのスタートアップではなぜ資金調達に対する重要が不足しているのだろうか?

数多くの複雑な要因があるが、大きく3つの理由が存在する。

1)市場の分断

1つ目は「市場の分断」である。

アフリカ大陸にはインドと同様の経済、人口の規模が存在するが、それらは異なる経済、法、金融、規制のある環境を持つ54の主権国家によって構成されている。

インドで最大のECサイトを持つFlipkartは、10億人を超える顧客にサービスを提供する一方で、南アフリカのTakealotでは6,000万人未満にしか提供できていない。

確かに、市場規模の不足や、世界・大陸規模での野心の欠如は、アフリカでユニコーンの出現を妨げる重要な要因であると考えられる。(8)

ポルトガル、スウェーデン、ポーランドなどの他の小規模市場では国内でユニコーンが誕生しているが、アフリカのスタートアップの間ではまだまだ遠いようである。

2)人的資本の不足

2つ目の理由は、「人的資本の不足」である。

UNCTADのTechnology and Innovation Report 2018によると、STEM科目の学士での学位取得者全体の29.2%がインドの大学を卒業し、アフリカの大学を卒業したのはわずか0.9%であった(9)

表4:2012年の国、地域別STEM学位の学士取得者の割合

Distribution-of-global-first-university-degrees-in-STEM

アジア諸国では、与えられた学位全体のうち、STEMの学位が32%を占め、中国では42%に達した。対照的に、STEM学位は、EU圏では授与された学位全体の18.5%、米国では16.7%、そしてアフリカでは7.2%に過ぎなかった(ただしエチオピアでの割合は29.5%)。

これは、大部分がテクノロジー分野に存在するスタートアップの成長を成功させるために不可欠なエンジニアリングおよびITスキルを持った人材の欠如を示している。

3)スタートアップ環境

3つ目の理由となる問題は、アフリカのほとんどの国々の特にシード期の「スタートアップ環境」である。

VC4Aが南アフリカのテクノロジースタートアップ環境を分析したところ、経験豊富な起業家の不足、アフリカ全体での成長を狙わない、不明確な政府政策、シード期の資金不足、制限された知的財産権、極端に低いレベルの数学および科学リテラシーなど、多くの欠陥が指摘されている。(10)

このような問題は、南アフリカが持つ資産基盤、比較的高レベルな民間企業、強力な大学制度、そしてヨーロッパや米国との密接な関係などの要素が欠けている他のアフリカ諸国ではさらに深刻化している。

大陸の分断化、人的資本の不足、脆弱なスタートアップ環境といったこれらの問題の結果、ほとんどのアフリカ諸国は、他の発展途上国のスタートアップと資金調達において競争できる規模まで成長するスタートアップを生み出せないでいる。

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