ビビッドな色のスーツでエレガントにキメたコンゴ共和国の「サプール(SAPEURS)」をご存知ですか。NHKの特番で紹介されてから1年あまり。その後、写真集『SPEURS』〔2015年刊〕をはじめ、つい先日には西武渋谷店で展覧会が開催、それに合わせての本国からの「サプール」来日など、ブームは過熱するばかりです。
今回は、いち早くサプールを取り上げたダニエーレ・タマーニ 氏が注目する、新たなアフリカ・ファッションの潮流をご紹介します。
セネガルにボツワナも!アフリカでファッションルネサンス、始まる!
今、「サプール」に代表とされる”ファッションルネッサンス”ともいうべき現象が、ファッションの辺境と思われていた場所で局地的に発生しています。
「サプール」を世界に先駆けて写真集にまとめたダニエーレ・タマーニ氏は、その動向にいち早く気づき、南アフリカのストリートダンサー、ボリビアのスカート姿のレスラー、ボツワナのメタルヘッズなど、7ヵ国の〝ファッショントライブ”を取材しました。
南アフリカ/ヨハネスブルグ
2005年に南アフリカのポップカルチャー・シーンで大人気を博した「スマーティーズ」をはじめ、ダンスとファッションを通して自己表現を行っている野心的なグループ「ヴィンテージクルー」、エレガントで個性的なファッションセンスの「ザ・サルティスト」など、南アフリカのファッションシーン最前線を走るグループです。
「ヴィンテージ・クルー」
「スマーティーズ」
セネガル/ダカール
伝統的なファッションに身を包み、セネガル人女性の代表のようなふくよかな女性たち「ディリアンケ」と、片や「グザリー・ファッション」と呼ばれるセクシーなファッションに身を包みナイトライフを楽しむ女性たち。
「グザリーファッション」
ボリビア/ラ・パス
伝統的な衣服を纏い身なりを整え、レスリングをする女性たち「フライング・チョリータス」
「フライング・チョリータス」
コンゴ共和国/ブラザビル
ブラザビルの貧しい地区であるバコンゴを中心に活動する、我が道を行くエレガントな紳士たち、「サプール」。SAPE(おしゃれで優雅な紳士協会「La Societe Ambianceurs et des Personnes Elegantes」)のメンバー。
「サプール」
「ソランジュ・ノウルズとサプール」※ソランジュ・ノウルズ:アメリカのポップスターでビヨンセの妹
ボツワナ/ガボローネ
80年代のヘビーメタルに、西洋のカウボーイスタイルとアフリカのアクセントをかけ合わせて誕生した、
タフでクールで威圧的なスタイル「アフロメタル」。
タマーニ氏は写真を撮影する際、それぞれのグループの信頼を勝ち取るために何日も一緒に過ごします。その結果、彼の撮る写真は被写体の個性そのままの、唯一無二の記録となるのです
被写体のグループらに共通するのは経済状況などの劣勢を、自らのクリエイティビティで超越していることです。その姿が見るものの感動を呼びます。
サプールを代表する「アフリカ・ファッション」ブームの根底にあるものは、単に上辺のオシャレというだけでなく、精神性の高まり、ファッションを通じて「自分革命」を起こすという、外と内の両輪の相乗効果が見る者を引き付けて止まないのではないでしょうか。
アフリカ各国の最先端ファッションを、良質エッセーとともに。
これらの写真は、かつて話題となった『SAPEURS – Gentlemen of Bacongo』の著者ダニエーレ・タマーニの新作写真集『FASHION TRIBES ―GLOBAL STREET STYLE』の日本語版に収録されています。
ダニエーレ・タマーニ 氏はフリーランスのファッション&ドキュメンタリー・フォトグラファーで、ミラノを拠点に活動しています。著書である『SAPEURS – Gentlemen of Bacongo』は、2010年にはインターナショナル・センター・オブ・フォトグラフィー(ICP)の美術&エンターテイメント部門で賞を受賞しています。
新作である『FASHION TRIBES ―GLOBAL STREET STYLE』は、写真だけでなく、ファッションジャーナリスト、社会学者、美術研究者らによって執筆されたスタイルの側面を探求するエッセー、被写体のメッセージも収録した、画期的一書です。海外では、ワシントンポストやCNNのWEB版で特集記事が組まれるほど、既に注目を集めています。
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