9402094205_d630f34b71_c

先日、マラウイのトイレについて思いを巡らせていた。正確に言うと、「トイレ」ではなく公衆衛生を改善する方法だ。6月4日の掲載記事「マラウイ農村の公衆衛生の問題点は?-サニタリーモニタリングを実施して分かったこと」は、現役の青年海外協力隊員による調査結果で、とても興味深い。

県の行政官が一軒一軒訪問して、トイレの衛生状況を指導して回ることは日本では考えられないことだろう。著者も言うように、こうした地道な指導が公衆衛生を改善していくのだろう。

コミュニティ主導型総合衛生管理(CLTS)

開発途上国、衛生改善、トイレのキーワードを聞いて思い出したのが、コミュニティ主導型総合衛生管理(Community-led Total Sanitation: CLTS)という手法だ。文化人類学のアプローチで、ファシリテーションを通じてコミュニティ自らが公衆衛生の重要性を見出すことを促す手法だ。少し調べてみたところ、国際協力機構(JICA)もタンザニアでCLTSを使った協力を行っていたようだ。CLTSの説明についてはJICAのホームページから引用したい。

自分たちの居住地のどこで野外排泄が行われ、それが結局のところハエなどの媒介で自分の口にする食物に戻ってくることを知り、自分たちの行為に「恥ずかしさ」や「嫌悪感」を強く感じさせ、野外排泄を止めさせることを狙った研修。by 国際協力機構(JICA)

私自身も一度、CLTSの旗振り役となっているロバート・チェンバースのワークショップに出たことがある。今でも覚えているのはこの言葉だ。

「公衆衛生の大切さを住民に周知するにはどうすべきでしょうか?それは、牛のウンチの横にご飯茶碗を置き、そこで住民にご飯を食べてもらうことです。」

かなり過激に見える手法だが、8年たった今も強烈に覚えている。人はなかなか口頭で指導されても心に響かないが、CLTSの参加型ワークショップを通じて得られる「羞恥心」や「嫌悪感」といった感情はなかなか忘れないものだ。

上記のマラウイの事例だと、オフィサーが一軒一軒訪問して指導している。CLTSの手法を応用して、効果を試してみるのも面白いかもしれない。南アジアで広く展開されているCLTSはアフリカでも効果的なのだろうか。

私はこの分野の専門ではないが、直感的にマラウイでの活動に生かせる可能性があるかもしれない。

Povertist


Cover Image Photo credit: UNICEF Ethiopia via VisualHunt.com / CC BY-NC-ND

The following two tabs change content below.
Ippei Tsuruga
The Povertistの編集長。アジアやアフリカでの開発援助業務に従事する貧困分析・社会政策のスペシャリスト。国際労働機関(ILO)児童労働撤廃プログラムインターンの後、国際協力機構(JICA)入構。アフリカ部ケニア、ソマリア、ナイジェリア国担当、研究所リサーチオフィサー、研究調整者、副調査役を経て、アメリカ事務所駐在員。現在は、ILOで開発途上国の貧困層に対する社会保障制度設計に従事している。香川大学法学士、英国サセックス大学開発学研究所貧困と開発修士。