「アフリカ・マラウイの貧困層の収入を向上させよ!」「・・どうやって?」〜9か月悩んだ結果まとめ〜

■マラウイ農民が自分でビジネスを始めるうえでの6つの課題

低所得者が収入向上するためには、自分でビジネスを始めるしかない。(レアケースを除いて)

じゃあ、マラウイの地方でビジネスを始めるには何が課題となっているのか。
日本とは異なる課題がいっぱいありました。

1) チャネルの少なさ(物流の悪さ)

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マラウイに存在する問題で大きなものが物流の悪さ。

マラウイは幹線道路が主に2本しかなく、その幹線道路沿いに町が点在しています。
特にコタコタ県は一番の主要道路沿いにないので、他の町へのアクセスも悪い・・。

また、農民のほとんどが交通手段(車はもちろん、自転車ですら)を持っていません。
近くの町に移動するため、公共交通手段のミニバスのお金も高くて払えないこともしばしば。

※例えば、ミニバスの料金約4、50kmまでで500KM(約71円)も払えない

そんな彼らにとって、ビジネスのために移動したり、ものを運んだりするというのは、大きな壁。
物流にアクセスできないがゆえに、農民は不利な立場に立たされています。

例えば、コタコタ県では以下のようなことが起きています。

例1:マンゴーのたたき売り

暑い地域でしか取れないマンゴー。

コタコタ県では腐るくらいありますが、他地域に持っていけば売り物になります。
ただ農民たちは交通手段がないので自分で売りに行くことができません。

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そこで、仲介者がコタコタ県から都市にマンゴーを運んでがっぽり設ける仕組みになっています。

仲介者はマンゴーの木1本につき3370MKで買う。
1本の木にマンゴーが300 個なるとしたら、300個×100MK=30000MKで売れる。

つまり、農民は木1本につき3370MKしか稼げないのに、

仲介者は、 30000MK-3370MK=26630MK稼げるという仕組み。
交通費を考慮しても、仲介者ががっつり設けています。

農民たちはその事実に嘆いていますが、交通費が高すぎるのでどうすることもできません。

例2: 貴重な魚の叩き売り

マラウイ湖沿いでは新鮮な魚が手に入りますが、少し湖から離れると新鮮な魚はあまり売っていません。
この地理条件を活かして魚を他地域に売れれば、きっとコタコタ県の収入は増えますが、物流の問題があり、やる人はいません。

ミニバスの乗客に魚を格安で売りに行く子供たち

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物流が整備されていれば、コタコタ県の漁業関係者は収入がアップするのに。
物流網の脆弱性はマラウイのビジネスで無視できない問題です。

2) 選べない顧客セグメント(高所得層にアクセスできない)

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コタコタは大都市から離れているので、大都市に住む高所得層をターゲットにできません。

途上国マラウイでの高所得層の多くは、都市部に住んでいます。
また、お金を持っている外国人も、多くは都市部か観光地にいます。

1)で述べたように、多くの農民は移動にお金を使うことができないため、都市に住むお金もちのマラウイ人や外国人市場にアクセスするのが難しい。

ビジネスでは基本お金を持った層を顧客ターゲットにするのが普通だと思います。
その分で、コタコタ県という地方は、ビジネス上不利な場所。

結局顧客にできるのは、同じ地域に住んでいる同じ所得の人。
外からお金が来ることもなく、貧しい地域内でお金をぐるぐる回している状態。

コタコタ県のお金の流通量が少なく、収入増加の壁になっています。

3) 限られたリソース(投資ができない)

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その日暮らしをしている低所得者。
数か月・数年先を見越して、投資できるような経済的余裕がある人はあまりいません。

そんな状況を改善するため、ビジネス組合を作り、少しずつお金を持ち寄ってビジネスを行ったりしています。(ビジネスグループCOMSIPや、貯蓄グループVSLAsがこれに当たる)

先進国と違って、銀行利用には大きな障害と多額の利子がかかるので、
銀行以外のお金を融資してくれる先を探すのが重要となってきます。

4) 識字・計算能力の低さ(コスト管理ができない)

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低所得者層の多くは十分な教育を受けられないまま大人になることが多いです。
ビジネスをするうえで、識字や計算ができないのは致命的。

簿記を付けられないので、コスト管理ができず赤字になってしまったり。
文字が読めないので、新しい情報を取り入れられなかったり。

知識を補うために、NGOが様々な講義を開いています。
勉強しなおすには相当な時間がかかりますが、お金は今稼がなきゃならなりません。

5) 情報アクセスの不利さ(イノベーションが起きにくい)

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低所得者のほとんどはテレビや新聞などにアクセスすることができません。持っていてもラジオ。
携帯電話も持っていない人が多いです。

そうなると情報を得る手段は、知り合いの人に聞くのみ。
結局、同じ地域にいる人から情報をもらうので、みんなが同じビジネスをします。

新しいことに挑戦しようという、イノベーションが生まれにくいです。

6) 争わない慣習(競争意識がない)

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マラウイは「Heart of Malawi」で助け合いの文化。
住むにはとても良い環境ですが、ビジネスでは時にマイナスに働きます。

例えば、マラウイの市場では、ほとんどの物が同じ値段で、同じ場所で売っています。
商品を差別化したり、他と競ったりする習慣があまりありません。

同じピーナッツを同じ値段で同じ場所で売る。

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聞いたところによると、「同じ場所で、同じ値段で売るのがあたりまえ」らしいです。
「お客さんがほかのお店のトマトを選んだら、それはしょうがない」とのこと。

これでは、ほかの店より良い商品を作ろうというモチベーションがわきません。
これは、マラウイの文化に関わることなので、変えていくのは本当に難しいと思います。

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