農作物の直販ビジネスに商機あり!ケニアでゴールデンスケープが進める囲い込み戦略と展望!

ケニアの農作物は市場に出回るとき、中間業者の高いマージンがそのまま価格に反映していることが多い。高級スーパーからローカルマーケットに至るまで卸売り業者が介在する作物の値段は生産者価格からすれば割高になりがちで、物価上昇の影響もあって出費に頭を悩ませる主婦が少なくない。また、最近では砂糖に異物が混入していた問題が発覚し、管理やチェック機能が十分とはいえないケニアにおいて安心・安全な食品への関心も集まっている。

こうした消費者ニーズを反映するかのように、最近ケニアでは大手から零細まで農家から消費者へと食品を販売する『直販ビジネス』が活発になっている。直販にすることで中間マージンを省き、生産者と連携することで安全で品質の高い商品を提供する狙いだ。元々個人の卸売り業者がトラックに地元の野菜や果物を詰めて週末にナイロビまで来て売りさばくという光景はよく見られていたが、近頃では会社規模で大々的に直販が行われ、顧客の獲得競争も過熱している。

直販に目をつけたゴールデンスケープグループ

image1
ゴールデンスケープグループの小売り店「Verdura」。新鮮な野菜と果物が陳列されている。

ゴールデンスケープグループ(Goldenscape Group Limited)の創設者であるピーター・ワンガイ氏も直販ビジネスに商機を見出した一人だ。同グループは10社を超えるグループ企業から成り立ち、建築業や不動産、清掃業、ツアー会社に至るまで幅広い事業を展開している。最近ではテレビCMで見かける機会も増えており、ケニアでも勢いのある企業グループの一つだ。

直販ビジネスにおいて同社が推し進める計画の中心にはグループ企業と連携した囲い込み戦略がある。農家向けのビニールハウス事業やフルーツ栽培事業で得た顧客という地盤を活用し、オンラインと小売店による直販事業では生産者へと転換させることで商品のサプライチェーンを固め、生産から販売までをカバーする狙いだ。

同グループの商品を利用するビニールハウス農家はニャンダルアやニエリ、キシイなどを中心に500人を超えるが、これが丸々サプライヤーとなっている点が他社との大きな違いだ。2018年1月にはナイロビで小売り店を開き、その後オンラインショップの稼働も始まった。また、5月には1.5億シリング(約1.7億円)を投じてライキピアに野菜加工工場を建設する計画を発表し、囲い込み戦略の加速化を図っている。

なぜ直販ビジネスを行う上でのポイント!

ピーター氏によると、直販ビジネスを行うポイントを次のように語る。

「自らマーケットにアクセスしにくい、ビニールハウス事業などを行う顧客は重要なサプライヤーです。中間業者を省き、安く早く商品を供給するためには欠かせない存在だからです。それ以外の外部サプライヤーも弊社の農業専門家のチェックを通れば小売店やオンラインショップで販売を行う許可を出しています。私たちは農家と消費者を繋ぐコネクターになることを望んでいます」

image2
Verduraの店内風景。

また、同グループの農業関連事業の位置づけについては次のように説明する。

「私はケニアが他の国から農作物を輸入すべきだとは思いません。ケニアには栽培に適した環境がありますし、私たちは農業系企業として5年以内に東アフリカ全体に新鮮な食品を供給する体制を確立させようとしています。農業はケニアのみならずアフリカ全体で重要な産業ですから、民間企業が挑戦する価値のある課題だと捉えています」

次ページ>> 農業は実はお金になるビジネス!


2

返事を書く

Please enter your comment!
Please enter your name here

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください