ケニアはなぜ進出先として人気か?

―これまでナイジェリア駐在を含め、アフリカ各地での経験が豊富な直江所長ですが、以前「ケニアはアフリカの中でもビジネス環境が良い」と発言されています。他の国々と比較した場合、ケニアのどのような点がビジネスに向いているとお考えでしょうか。

ビジネス規模によると思います。日本の大手企業がビジネスを行う上で最も重要なことは、その国にお金があるかどうかです。いかに環境が良くても稼げなければ事業として成り立たないので、中々進出することは難しい。ビジネス環境としては良いとは言えないが経済規模が大きいナイジェリアに注目が集まっているのはそのためです。

その次にはとりっぱぐれないことです。ケニアだと過去にデフォルトなどを起こしていないこと、債務管理を上手にしてきて外貨準備が潤沢なので、ナイジェリアよりも採算がとれる確実性が高いと考える企業が多い。

―その点が日本企業の間でケニアが人気な理由なのでしょうか。

そう思います。他には法体系が英国法に準拠していること、ハウスキーパーやメッセンジャーボーイといった末端の人間まで英語が使え、現地語を使わなくてもいい点はとても大きいですね。多くのアフリカ諸国では中央のトップ層では英語を使っているものの、末端にまで普及しているとはいえませんから。後は外資規制が少ない点は事業を始めやすくしています。

―例えばエチオピアでは外貨規制が強いことが有名ですが、実際にビジネスを行う点ではどのような点で不便なのでしょうか。

エチオピアでは外貨が少ないため、LC(信用状)決済を行って海外からモノを買おうとしても、まず外貨を配分してもらえないんですね。普通に申請すると3ヵ月、場合によっては6ヵ月から9ヵ月も待たなくてはならない。その間事業はストップします。

基本的に国が輸出する産業には優先的に外貨が配分されますが、輸入する必要のある産業には優先順位が下がります。ケニアの場合ではユーロ債の起債が順調に進んでいるので、今のところ外貨準備の一定の金額を支えており、外貨規制がありません。

―不正などの問題はあるものの、アフリカの中でケニアはまだ役所手続きがやりやすいのではないかと仰られていた記憶があります。

やりやすいというレベルには至っていないと思いますが、まだ『想定の範囲内』に収まっているのではないかと思います。もちろんその範囲にも幅はあります。また、想定の範囲を超えるトラブル、問題が起きるのはアフリカビジネスの常ですし、こちらで事業を行う企業は全てこうした問題と向き合い、解決しようとしていますよね。

―なるほど、確かにアフリカでは想像を超えることが日常的に起きますが、その幅が他の国よりもまだ小さい、というのは大きいかもしれませんね。

ケニア投資庁も投資受け入れの環境整備に動いてます。各種手続きがワンストップで可能なコワーキングスペースを整備し、起業や支社設立に必要なことを一つの建物内で行えるようにしています。他国と兼務ですが日本企業を担当するスタッフも配置されており、心強いですね。ケニア側のこうした受け入れに関する動きは正当に評価すべきでしょう。JETROも彼らと連携しており、新たにケニアで活動する企業をサポートしています。

次回、後編記事ではケニア市場と進出に関する最新トレンドをお伝えします。

・筆者:長谷川 将士

後編はこちら>> JETROナイロビ所長に聞く!ケニア最新トレンドと存在感を増すスタートアップ!

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長谷川 将士

長谷川 将士

株式会社グラスルーツウォーカーズ代表取締役CEO
二十歳からケニアでフィールドワークを続け、大学院時代に行った調査が共著論文として書籍に掲載されています。専門はアフリカ政治経済学(特に紛争及び市民暴力)。最近は中間層論と経済成長論に関心有り。日本のアフリカ報道と学術研究やフィールドワークから見えるアフリカ像が大きく異なることに疑問を抱き、エビデンスに基づいた現場発信型メディアを立ち上げるべく、ケニアで奮闘しています。弊社ジャーナルサイトは平日、正午に更新していますのでご一読ください。