マタニティバッグが語る出産環境の現状!ウォーターエイドが世界12か国の女性たちの実態を公開

5月5日の「国際助産師の日」と5月10日の「母の日」に合わせ、ウォーターエイドは、日本やエチオピア、ガーナ、マラウイ、イギリスなど12か国の女性たちの「マタニティバッグ」に注目したキャンペーンを発表しました。

バッグの中身には、赤ちゃんを迎える喜びだけでなく、それぞれの国や地域が抱える水・衛生環境の格差が映し出されています。ある地域ではお守りや水筒が持参される一方で、別の地域ではカミソリやバケツ、漂白剤など“命を守るための道具”を自ら準備しなければなりません。世界では2秒に1人の女性が、十分な水や衛生環境が整わないまま出産しており、年間1,600万人以上が防ぐことのできる感染症リスクにさらされています。

水不足が出産の安全を左右するアフリカの現場

アフリカ各地では、出産に必要な「清潔な水」を確保すること自体が大きな課題となっています。マラウイ・マンゴチ県のナクンバ保健センターで出産を控える20歳のローズさんは、バケツやカミソリ、処置用の糸、伝統布「チテンジ」などをバッグに入れています。

しかし施設のトイレには水がなく、外の給水栓から水を運ばなければならない状況です。石けんやモップなども不足しており、「本当に必要なのは石けんだ」と語っています。衛生環境が十分でない中での出産は、母親と新生児の感染リスクを高める深刻な問題です。

エチオピアでも、水不足は出産環境に大きな影響を与えています。首都アディスアベバ近郊の村に暮らすアンシヤさんは、民族紛争による移住の影響で水不足地域に住んでおり、出産時には赤ちゃん用の服だけでなく、水を運ぶためのバケツも持参予定です。

また、同地域の保健センターで働く助産師ヒンディーヤさんは、「最大の課題は電気と水」と話します。時には1週間以上断水が続き、妊婦が自ら水を背負って運ぶ姿も珍しくありません。助産師が手洗いや器具消毒を行えない状況は、現場の医療従事者にとっても大きな負担となっています。

都市部と地方で異なるエチオピアの出産環境

同じエチオピア国内でも、都市部と地方では出産環境に大きな差があります。アディスアベバで美容院を営むロイドさんは、比較的サービスにアクセスしやすい都市部で生活しており、病院にはパジャマや痛み止め、義母から受け継いだおくるみなどを持参する予定です。

ロイドさんは「都市部では基本的なサービスが利用しやすいが、国全体では最低限の必需品さえ手に入らない女性が多い」と指摘し、水へのアクセス改善と衛生意識向上の重要性を訴えています。

このような格差は、アフリカだけの問題ではありません。イギリスで初めての出産を控えるアミラさんは、水筒や洗面用具、母親から受け継いだブレスレットをバッグに入れています。「清潔な水がないまま出産する女性が世界にいることを知らなかった」と話し、出産時に安全な水があることの重要性を改めて実感したといいます。

同じ“出産準備”でも、その中身が「快適さ」を支えるものなのか、「命を守るため」のものなのかには、大きな違いがあります。

母子を守る「清潔な水」の重要性!

日本では、多くの医療機関が紙おむつやパジャマ、新生児用衣類などをまとめた「出産準備セット」を提供しています。東京在住で第4子を妊娠中のアヤコさんは、母子手帳や安産のお守り、お気に入りのアーティストのコンサートでもらった水などを持参予定だと語っています。

一方で、「汚れた水への不安を抱えながら出産する状況は想像できない」と話し、世界の女性が置かれている現実への問題意識も示しました。

ウォーターエイドによると、現在も世界の保健医療施設の5分の1では、清潔な水や基本的な衛生環境が整っていません。そのため、多くの女性たちは本来医療施設側が備えるべき水や消毒用品、ビニールシートまで自ら準備しています。

同団体は、2026年12月に開催される国連水会議を前に、保健医療施設への水・衛生分野への投資強化を国際社会へ呼びかけています。清潔な水と衛生環境は、母子の命を守るための最も基本的なインフラであり、地域や国によってその安全性が左右される現状に対し、世界的な対応が求められています。


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