独立行政法人国際協力機構(JICA)とLIXILは、開発途上国における水・衛生課題の解決に向けた業務連携・協力覚書を締結しました。
今回の連携では、単にトイレを設置するだけではなく、現地で製造・販売・維持管理までを担う「衛生経済(Sanitation Economy)」の形成を目指します。
まずはケニアとマラウイを対象に、安全なトイレや手洗い設備の普及、衛生習慣の定着、人材育成を進め、難民支援や気候変動への対応にもつなげます。アフリカを起点に、中東やアジアを含む地域へ展開し、50万人への安全で衛生的なトイレ普及を目指す取り組みです。
アフリカで深刻化する衛生課題と官民連携の新たな挑戦
世界では依然として安全なトイレや手洗い設備へのアクセスが十分ではなく、水・衛生分野は保健、教育、栄養、ジェンダー、人道支援など幅広い分野に関わる重要な開発課題となっています。
不衛生な環境に起因する下痢性疾患によって、世界では毎日1,000人以上、年間約44万人の子どもが命を落としているとされており、衛生環境の改善は喫緊の課題です。
さらに、気候変動による洪水や干ばつ、感染症の拡大、難民や国内避難民の増加などにより、水・衛生サービスにはこれまで以上の強靭性が求められています。
こうした状況の中、JICAとLIXILは、公的支援と民間ビジネスを組み合わせた新たな官民連携モデルを推進します。JICAは各国政府とのネットワークや政策支援の知見を活用し、LIXILはソーシャルビジネス「SATO」を通じて培った製品開発や市場形成のノウハウを提供します。
LIXILはこれまで世界59カ国で1億人以上の衛生環境改善に取り組んできており、今回の連携ではその実績をアフリカの現場でさらに発展させていきます。
ケニアとマラウイで進む衛生経済モデルの構築
今回の覚書に基づく取り組みでは、JICAとLIXILが連携し、現地で衛生サービスが自律的に循環する「衛生経済」の形成を目指します。これは単なる設備供与ではなく、地域住民が衛生設備の製造、販売、設置、維持管理に関わりながら継続的なサービスを提供する仕組みです。
学校や保健医療施設、難民・受け入れ地域、家庭などを対象に、安全なトイレや手洗い設備の普及と衛生習慣の定着を進めるとともに、現地人材の育成やサプライチェーンの構築にも取り組みます。
ケニアでは、北西部のカクマ難民キャンプおよび周辺地域を対象に、難民の社会・経済参加を促進する政府の「シリカ計画」と連携します。JICAによる給水インフラ整備とLIXILのSATO事業を組み合わせることで、市場主導型の衛生改善を進め、難民を含む地域全体への水・衛生サービス提供を目指します。
一方、マラウイでは、洪水など自然災害による長期的な冠水環境にも対応できる強靭な水・衛生サービスの整備を進め、SATO製品の導入を含む取り組みを推進します。
難民支援と雇用創出を通じて50万人への普及を目指す
JICAとLIXILは、今回の取り組みを通じて衛生環境の改善だけでなく、雇用創出や難民の自立支援にもつなげていく方針です。
衛生設備の製造や販売、設置、維持管理を担う人材を現地で育成することで、新たな経済活動を生み出し、地域社会の持続的な発展を後押しします。衛生サービスを支援事業ではなく地域の産業として定着させることが、「衛生経済」の大きな特徴です。
また、この取り組みは国際社会の安定や感染症対策にも貢献することが期待されています。JICAは政策や制度面からの支援を行い、LIXILは製品開発や事業展開を担うことで、単独では実現が難しい社会実装を推進します。
今後はケニアとマラウイでの成果を基盤に、アフリカをはじめ中東やアジアへと展開を拡大し、50万人への安全で衛生的なトイレ普及を目指します。さらに、日本企業の技術や知見の海外展開を後押しするとともに、各国との信頼関係強化にもつながる官民連携モデルとして注目されています。
- 記事提供元:トイレが経済を回す—アフリカから始まる“衛生経済”の共創|PR TIMES

















