アフリカでコインランドリー「SELFIE」、モザンビーク2号店を現地スタッフが開業!

アフリカでコインランドリー事業を展開する「SELFIE(セルフィー)」が、初進出国モザンビークで2号店を開業しました。2024年10月に日本からの開業支援でオープンした1号店の好調を受け、2号店は現地スタッフのみで施工と設置を行い、開業にこぎつけたものです。

株式会社アセンティア・ホールディングスと株式会社YOUMEXの子会社・株式会社Life Breezeが支援するこの事業は、いよいよアフリカでのランドリーフランチャイズ(FC)の「自走」段階に入りました。

現地スタッフだけで開いた2号店

株式会社アセンティア・ホールディングスと、株式会社YOUMEXの子会社である株式会社Life Breezeが支援するモザンビークのランドリー運営会社LAVANDARIA SELFIE, SU, LDAは、2026年4月、首都マプト中心部に近い、商店が立ち並ぶ生活道路沿いに2号店を開業しました。

2024年10月にオープンした1号店から1年を経ての出店です。1号店が海上輸送コンテナを改造した「コンテナランドリー」だったのに対し、2号店は既存建物への出店となりました。

今回の2号店で特筆すべきは、施工や機器の設置を日本側の支援に頼らず、モザンビークの現地スタッフだけで行い、開業まで漕ぎ着けた点です。1号店は日本からの開業支援を受けてオープンしましたが、2号店では現地チームが自らの手で店を立ち上げました。

これはアフリカでのコインランドリーフランチャイズが「自走」を始めたことを意味します。アフリカでのコインランドリーという、現地でほとんど前例のない事業形態が、外部支援に依存せず現地の力で広がっていく――その第一歩が、このモザンビーク2号店なのです。

留学生の「母国に持ち帰りたい」から

このランドリー事業の発端は、2022年10月にさかのぼります。「ランドリーフランチャイズを母国に持ち帰りたい」と、アフリカを含む世界各国で外食や農業支援など日本のビジネスをフランチャイズ展開してきたアセンティア・ホールディングスに、インターンシップの相談が寄せられたのです。

相談したのはモザンビーク出身のSergio Morais氏。日本政府のABEイニシアティブ制度で来日し、国際大学(新潟県)で国際関係学の修士課程を学んだ人物です。

LAVANDARIA SELFIEの代表を務めるSergio氏は「母国ではほとんどの家庭で衣類を手で洗っており、一回に4〜5時間かかる。洗濯は女性の仕事とされ、同世代の女子学生は家族中の洗濯を担わされ、勉強の時間がない」と訴えました。

修士課程修了後、「ランドリーをフランチャイズ化して母国に持ち帰る」ことをテーマに同社で半年間のインターンシップを開始。ランドリー実務を学ぶ先として、当時8店舗のランドリーを展開していたYOUMEXが選ばれ、2023年7月に立石社長を訪ねました。

「最初は寄付や援助的にアフリカを見ていました」と振り返る立石社長は、Sergio氏の熱意ある説明を聞くうちに思いを変えていきます。

Sergio氏は需要予測を携えて日本のコインランドリー機器メーカーを訪ねますが、新品機器ではメンテナンスができないとして断られ、代わりに「中古機の利用」を提案されました。

紹介されたのが、YOUMEXの仕入れ先でもある中古機問屋の三共工業でした。こうして2023年8月下旬から中古ランドリー機器を使う戦略に転換。視察中に見つけたコンテナランドリーに着想を得て、1号店は海上輸送コンテナの改造とすることが決まりました。

材質もサイズも国際標準で定まるコンテナは、現地視察なしに日本側で準備を進めるうえでも好都合でした。出店地は、Sergio氏の祖父が所有する、日本政府の経済支援で建てられた地元中学校前の土地に決まりました。

店名「SELFIE」に込めた3つの意味

フランチャイズ展開には創業の理念が大切だと学んだSergio氏は、「SELFIE(セルフィー)」という店名と理念に行き着きました。

この名前には3つの意味が込められています。第一に、自撮りとも表現されるように「自分自身で行う」、つまり洗濯を自分で行うという意味です。第二に、フランチャイズ加盟によって経済的にも自立するという意味でのSELFIE。そして第三に、出店する地域社会を洗濯という家事労働から解放し、地域の中心的な店としてエンパワーメント(潜在能力の発揮)につなげるという意味です。

このSELFIEブランドは、モザンビーク国内にとどまらず、アフリカ全体への展開を見据えています。

手洗いが主流の国でセルフサービスのコインランドリーがどう受け入れられるか――2024年10月30日に1号店の開設工事が完了しましたが、日本のコインランドリーとはいくつかの点で異なります。

営業は24時間ではなく朝7時から夜7時までの12時間。洗濯乾燥機が主流の日本と違い、洗濯機と乾燥機の専用機を設置。無人営業ではなく、代金決済や使い方を教えるスタッフが常駐します。

また日本では法律で禁じられているスタッフによる客の洗濯物への接触も、モザンビークでは洗濯機から乾燥機への移動をスタッフが行えます。

しかし開設工事直後の2024年11月1日から翌年2月中旬まで約3か月半、大統領選挙の不正に対する抗議デモが激化し、人々の外出が制限され、経済活動も停滞しました。

実際にSELFIEが開業できたのは2025年2月中旬です。開業前は、手洗いからのシフトで洗濯機の需要が旺盛だろうと予測し、経済事情から乾燥機の利用はまだ先と見ていました。

手洗いの国で予測超えのダブル利用

ところが1号店の実績は予測を超えました。予想外だったのは、洗濯機を利用した客のほぼ全員が乾燥機もあわせて使う「ダブル利用」だったことです。

料金は1号店の場合、洗濯機が14キロ200メティカル(約500円)、20キロ300メティカル(約750円)、乾燥機は16キロ10分100メティカル(約250円)、28キロ10分150メティカル(約375円)。

2号店ではこれらが引き上げられ、洗濯機14キロ300メティカル(約750円)、28キロ400メティカル(約1,000円)などとなっています(円換算はメティカルの2.5倍)。

売上面では、原価率20%、家賃5万円、人件費5万円という構造のなかで採算が取れ、2号店出店への道が開けました。

Sergio氏は開業当初の苦労をこう振り返ります。「このコンセプト自体がほとんどの人にとって全く新しいものでした。多くの顧客はセルフサービス式コインランドリーを聞いたこともなく、料金を払うのになぜ自分で機械を操作するのか理解できないという人もいました」。

同氏らの文化では洗濯サービスは通常他人が行うもので、自分で機械を開け、衣類を入れ、洗濯し、乾燥機へ移すという発想は馴染みがなかったといいます。

それでも忍耐強い説明と実演、チームの絶え間ない立ち会いによって、人々は次第にシステムの価値を理解していきました。

スピード、利便性、清潔さを体験するにつれ信頼が高まり、現在では定期利用者が増え、友人や家族に勧める顧客も多いといいます。

Sergio氏は「このサービスは単に衣服を洗うことにとどまらず、個人のエンパワーメントや生活の質の向上につながる」と語り、家事の大部分を担う女性が、節約できた時間を読書や勉強、休息に充てられる意義を強調します。

アフリカ54ヵ国へのFC展開戦略

YOUMEXはこのアフリカ事業を推進するため、子会社・株式会社Life Breezeを設立しました。LB社はアフリカ全土のフランチャイズ本部として機能し、モザンビークに続き、ケニア(2025年9月・12月に出店済み)、リベリア(2026年6月出店済み)、ガボン(2026年8月出店予定)と、各国でABEイニシアティブ卒業生が核となる会社をフランチャイズ本部とする前提でSELFIEランドリーの経営を始めています。

各国本部会社の設立時には、三共工業で消耗部品を交換・整備した中古ランドリー機器をコンテナ輸出し、当初2店舗分を本部会社にレンタルします。加盟店には中古機を販売する仕組みです。

LB社は各国本部の支援に加え、中古機器や洗剤などの消耗品の供給、チェーン本部としてのナレッジ共有を担います。まず既存4ヵ国の先行店舗でノウハウを固め、各国でのフランチャイズ展開を進めたうえで、アフリカ54ヵ国へ順次出店し、5年程度でほぼ全ヵ国への出店完了を目指すとしています。

アフリカは一人当たりGDPが年間500ドル台の国から1万ドルを超える国まであり(日本は約3万ドル)、洗濯機の普及度やWash & Fold(洗濯代行)の一般化の度合いも国によって大きく異なります。

そのため、各国出身で日本に2年以上の留学経験があるABEイニシアティブ卒業生を対象に事業を進めています。

現地の法改正情報の入手の遅れ、現地パートナーとの信頼関係、現地マーケティング不足といった海外展開で失敗しがちな課題を、卒業生をフランチャイズ加盟店として受け入れることで回避する戦略です。

2025年8月の日本政府主催TICAD9(アフリカ開発会議)のジャパンフェアにも、LB社はブースを出展しSELFIEランドリーを紹介しました。手洗いが主流だった国で生まれたコインランドリー「SELFIE」は、留学生の「母国に持ち帰りたい」という思いを起点に、いまアフリカ全土へと広がろうとしています。


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