ガーナの交番に行った話。〜初めて見た闇の部分に、ガーナの未来について考えさせられた〜

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Memawoakye!!(メマヲマーチ!!)
西アフリカのガーナ共和国より、おはようございます。

ガーナ生活も7ヶ月を過ぎたわけですが、ここに来て事件が相次いでおります、協力隊員の小林です。
少しずつ記事にしていこうと思います。

ということで、今回はガーナの交番に行った話。

海外で働いていたら、交番にお世話になることも1回くらいはあるんじゃないでしょうか。
なんで行く羽目になったかは、ながーいストーリーがあるので、また後ほど。

首都アクラ、空港近くにあった交番は思いのほか小さかった。
責任者である、コマンダーは警官らしくがっちりした体格で熊のよう。

その彼に拙い英語で一通りの説明をしたところで、
「よし分かった、とりあえず待っててくれ。」
と言われたので、奥の椅子に座ろうとしたら、
「お前そこに座っていたら、あそこにぶち込まれるぞ」
顎でクイッと方向を指すコマンダー。

そこにはガッチリした鉄格子。
牢屋?留置所?みたいなそこからは、収容者が顔を覗かせて
「オブロニー!オブロニー!」(オブロニ:白人)
とやたらと絡んでくる。暇なのだろう。

物珍しくきょろきょろしていたら、外に車が止まり狭い部屋にぞろぞろと人が入ってきた。
手を引っ張られひきずられるように入ってきた、ひょろっとした男に手錠がかけられた。
そのまま例の椅子に座らされる。

ボコッ

鈍い音が響いて振り返ると、手錠をかけられた男が4人の大男から殴られている
私の横にいたコマンダーがつかつかと歩み寄りおもむろに、裸足の彼の足を革靴で踏み思いっきり体重をかける。
泣き声と悲鳴が響き渡る。

これリンチじゃないの・・・
思わず呟く私。

ぞろぞろ入ってきた人々は被害者だろうか、目をそらさず、むしろ楽しそうに見ている。
よくやった!と口々に逮捕に至ったことを褒めたたえながら、リンチを続ける。

見ていられなくなり、思わず外に出て空を見上げる。

誤解のないように一言。
ガーナにいて半年以上になるが、温厚でいつもジョーク言ってはがははと笑うガーナ人が、誰かに手をあげるところなんて、初めて見た。
だから余計にびっくり。

悪いことをした人に、とことん制裁を加えるというのが文化なのかもしれない。
似たような話はいろんな人から聞いていたので、そう思った。

学校で活動をする隊員がみんな口をそろえて言うのは、先生たちがケーン(鞭)で悪いことをした子どもを容赦なく叩くということだ。
文房具屋さんに、ケーンがどんと置いてあったのはさすがに笑った。

その後被害者と話したところ、リンチされていた彼、強盗犯だったらしい。
しかも刃物を振り回していたらしい。

被害者の母親らしき人が、
「いつからガーナはこんなに危険な国になってしまったのかしら、、、そろそろこの国を出るべきだわ」
と言っていてすごく悲しくなった。

私の知っているガーナ人(任地の)はみんな、ガーナが平和で安全な国であることを、とても誇りに思っている。
任地にいると、日本よりも安心感があるくらいだ。
小さな町で顔見知りばかり、ということもあるけど。

しかし実際、首都アクラを中心に確かに治安はどんどん悪くなってきている。

このような強盗の話はよく聞くし、武装集団が長距離バスを襲うみたいな話もよくニュースになっている。
経済格差もどんどん広がっているのだろう。
物価も急上昇中。庶民の生活の苦しさはよく分かる。

もちろん、強盗なんて言語道断ではあるけど、こういうことに手を出してしまう人が、どんな背景でどうして犯行に至ったのか、考えずにはいられなかった。
リンチされていた彼の眼が忘れられない。

大好きなガーナではあるけど、深い闇の部分を見た気がしました。
未来のことを考えると、今何をすべきか考えさせられます。

おまけ:首都アクラで見た車。

こうなっても走り続けるガーナ人のポテンシャルに期待ですね!!

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また来週―!!

Akane Kobayashi


原文元:ガーナの交番に行った話WWJ Project
Cover Photo credit: North Dakota National Guard via Visual Hunt / CC BY-NC-SA

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