ボツワナでロングラン!映画「ア・ユナイテッド・キングダム」!

2016 年12月9日に上映開始された「ア・ユナイテッド・キングダム」。
ボツワナでは珍しく4週間のロングランとなっていました。
※ボツワナはスター・ウォーズですら2週間で公開が終わる国です。

もちろん私も観に行きました!

この記事はなんとかネタバレなしで書きたいと思います。
日本での配給はまだあるかどうかわかりませんが、英語圏の海外駐在の方々は観れる可能性大。

マイナーな映画ですが、ぜひ日本でも配給してほしいです!!

 

映画を観る前に知っておくべき地名と場所

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カラハリ砂漠(Kalahari desert)
最初の方でルスが地図でベチュアナランド(現ボツワナ)を探すシーンがあるのですが、地図にでかでかと「Kalahari desert」と書かれています。ボツワナの大半を占めるのがこのカラハリ砂漠。砂地で降雨量が少なく、ブッシュが生えてるだけの荒れ地です。最初にセレツェとルスが飛行機でベチュアナランドに降り立つシーンは典型的なカラハリ砂漠の風景になっています。

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パラペ(Palapye)
ボツワナ東部の町で、鉄道の駅があります。ケープタウンからカイロへ抜ける鉄道をセシル・ローズが計画していたという話は世界史の教科書でみたことあるのではないでしょうか?イギリス植民地だった南部アフリカではケープタウンからボツワナを通りジンバブエに抜けるルートで鉄道が走っていました。
パラペはそのボツワナの駅の町です。古くからロンドン・ミッショナリー・ソサエティという教会が入って栄えていた場所でもあります。

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セロウェ(Serowe)
セレツェ・カーマをコシ(王)とする、ングワト族(ベチュアナランドの大半を占めた人々)が主に住む村で、パラペから現在の舗装路なら車で30分程度の場所です。舗装路30分ということは、当時のオフロードの場合2時間くらいかかるだろうという点を覚えておいてください。
セロウェは首都から4時間かかる場所ながら、今もボツワナで大きな町の一つです。映画では小高い丘からセロウェの村を見渡すシーンがありますが、あの丘は実際にあり、丘を中心にセレツェ・カーマ初代大統領の家があり(現在は博物館)、夫妻のお墓もあります。

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写真上はセロウェの博物館です。

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丘からみたセロウェ。

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初代大統領夫妻のお墓。黒い方がセレツェ・カーマ、白い方がルス。

 

マカディカディ塩湖(Makgadikgadi pans)
ボツワナ在住日本人からは「なぜだ?」という声もあがった、なぜか塩湖を車で通るシーンがあります。実は塩湖のほとりにカーマ家の実家があるんですが、そこに立ち寄るシーンはないし、ボツワナという国で存在感ある場所なので登場したのではないかと思われます。

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ケープタウン(Capetown)
南アフリカ共和国南端の町です。喜望峰のあるあたりといえばわかりやすいでしょうか?現在でもボツワナから飛行機で2時間かかります。当時はボツワナとは鉄道でつながっていた場所でもあります。
ネルソン・マンデラが投獄されていたロベン島はケープタウンから船で45分程度(現在)のところにありあす。

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知っておくべきツワナ語

全編にほとんどツワナ語は登場しませんが、以下のワードは重要なので知っておくと良いと思います。

「プーラー!!」(Pula)
Pulaは雨という意味で、めでたいときはプラ!と叫びます。
現在も「乾杯」はプーラー!、演説の〆もプーラー!
ボツワナ人はプーラーというと条件反射でプーラーと返します。映画では冒頭から登場しますので、よくみていてください。

コシ(Kgosi)
英訳はチーフやキングとなります。族長or王のことです。セレツェ・カーマはングワト族のコシです。

コタ(Kotla)
集会所のことです。会議が行われるのはこのコタです。映画にはセロウェのコタが登場します。

「ま?」(Mma?)
ルスがあっという間に習得していてビックリしたんですが、女性を呼び止めるときに使います。

 

矛盾が生んだ国

映画のコピーは
「大英帝国に衝撃を与えた、 真実の愛の物語」
「世界を奮い立たせた、真実の愛の物語」

たかだか結婚が異人種間の結婚というだけで、当時はめちゃ大変だったんです。最初は2人が結婚するためにはじまった戦いが、物語が進むにつれ、ボツワナの独立やボツワナという国の基盤に関わって行くようになります。
結果がもうわかっている現代なので書きますが、アパルトヘイトという道を選んだ南アフリカや白人を追い出す政策をとったジンバブエという国がボツワナの周辺にあります。これらの国と白人の夫人を持つ黒人初代大統領を選んだボツワナの人種問題についての差は歴然としています。ボツワナは「人種差別」というものと無縁の道を歩くことを、この大統領がいたことによって実現できたのです。南アが引きずるトラウマに比べとてもこれが軽い。

「私はこの国を愛している、人々を愛している、でも妻も愛しているんだ」

当時は大きな壁であり矛盾だったことを抱えていくことを許したから今のボツワナの平和はあるんでしょう。

 

原作は「Colour Bar」

スーザン・ウィリアムズによって書かれたセレツェ・カーマ初代大統領とその夫人のラブストーリーで、第二次世界大戦が終わった直後に空襲にもあっていたロンドンにセレツェ・カーマが来るところからはじまります。当時のロンドン、特に黒人にとってのロンドンという場所がどういう所だったのかを裏付けになる数字も提示しながら書いており、ルポに近い感もあります。

この原作をもとにしてはしょるとこはしょってできたのが映画「A United Kingdom」。もっと深く知りたい人は原作読むと良いと思います。(英語版ですが・・・)

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