アフリカのスタートアップエコシステムにおいて、長年停滞していたIPO(新規株式公開)の動きに、6年ぶりの変化が生じました。
2019年にアフリカ発EC企業のJumiaがニューヨーク証券取引所へ、エジプトの決済大手Fawryがエジプト証券取引所へ上場して以降、同様の事例は長らく見られていませんでした。
こうした中、2025年にフィンテック企業のOptasiaとCash Plusが上場を果たしたことは、アフリカ市場におけるIPOの位置づけを再考する契機となっています。
JumiaとFawryが示した先行事例
アフリカのスタートアップにおけるIPOの歴史を振り返ると、2019年のJumiaおよびFawryの上場は極めて象徴的な出来事でした。
Jumiaはアフリカ発のECスタートアップとして初めてニューヨーク証券取引所へ上場し、アフリカ市場からグローバル資本市場へ直接アクセスする可能性を示しました。
また、Fawryはエジプト証券取引所への上場を通じて、国内市場を基盤としたフィンテック企業でもIPOが成立し得ることを明確にしました。
これらの事例は、アフリカ発スタートアップが資本市場を通じて成長資金を調達し、既存投資家にとってのイグジット手段となり得ることを初めて具体的に示した点で大きな意味を持っていました。
一方で、その後約6年間にわたり、同規模・同水準のIPO事例がほとんど生まれなかったことから、JumiaとFawryは「先駆的だが例外的な存在」として語られるようになり、IPOは現実的な選択肢というよりも、限られた条件下でのみ成立する特別な事例として認識される状況が続いてきました。
6年ぶりに上場したOptasiaとCash Plus
2025年に上場を果たしたOptasiaとCash Plusは、いずれもフィンテック分野において長期的に事業を積み上げてきた企業です。
Optasiaは、AIを活用した与信・クレジットスコアリングを通信事業者や金融機関に提供するB2Bモデルを採用し、消費者向けの自社サービスを持たず、既存インフラと連携する形で事業を展開してきました。このモデルにより、アフリカや中東を含む複数市場で安定的な収益構造を構築してきた点が特徴です。

画像引用元:OPTASIA Official Website
一方、モロッコ発のCash Plusは、約5,000店舗の物理拠点とデジタルサービスを組み合わせた運営モデルを展開し、現金利用が根強い市場環境に対応してきました。
同社は2025年12月上旬にカサブランカ証券取引所へ上場し、評価額約5.5億ドル、応募倍率60倍超えという結果を記録しました。

画像引用元:CASH PLUS Official Website
両社に共通しているのは、急速な拡大よりも、継続性と実績を重視した事業運営を行ってきた点です。
IPO事例が示す今後の展開
OptasiaとCash Plusの上場は、アフリカのスタートアップエコシステムにおけるIPOの位置づけに変化が生じ始めていることを示しています。
これまでアフリカ投資では、出資の機会は増加する一方で、IPOを通じた資本回収の事例が限られていたため、資金循環の面で課題が指摘されてきました。
今回の2社の上場により、アフリカ市場においても、一定の条件を満たした企業が公開市場へ移行する事例が存在することが改めて示されました。
また、OptasiaのようなB2Bモデルや、Cash Plusのように自国市場を活用した上場形態が実例として示されたことで、IPOの形が一様ではないことも明確になっています。
これらの事例は、アフリカのスタートアップが成長段階に応じて資本市場との関わり方を検討する際の参考事例として位置づけられ、IPOが過去の例外的な出来事ではなく、整理可能な選択肢の一つとして認識される段階に入ったことを示しています。
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