公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)は、コンゴ民主共和国を中心に感染が広がるエムポックスに対して、迅速かつ簡便にクレード識別を可能とする検査薬プロトタイプの開発を目的に約7,000万円の投資を決定しました。
エムポックスは感染者数の増加や死亡率の高さから国際的な警戒が続く感染症であり、2024年にはアフリカ地域で再びPHEICが宣言されるなど深刻な状況が報告されています。
本プロジェクトは日本の企業・研究機関と国際機関が連携して進めるもので、医療インフラが整っていない地域でも使用できる診断技術の確立を目指し、公衆衛生上の重要な課題に対応する取り組みとなります。
深刻化するエムポックスの現状
エムポックスはコンゴ民主共和国をはじめサブサハラアフリカの広い地域で感染が拡大しているウイルス性感染症で、世界保健機関(WHO)の報告によると、2022年1月から2025年10月までの間に141か国で17万人を超える感染者が確認されています。
特にコンゴ民主共和国では5歳未満児の死亡者が約6割を占め、この年齢層の致死率が約7~9%に達するなど深刻な影響が報告されています。
感染者の増加を受け、2024年8月にはアフリカ地域でのまん延を背景に、2022年7月に続いて二度目となる「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」が宣言されました。
2025年9月に緊急事態宣言は解除されましたが、依然として周辺国でも患者が確認され、重篤な合併症の発生や再拡大のリスクが指摘されています。
また、エムポックスには主に二つのクレードが存在し、クレードによって感染力や致死率が異なるため、現地での迅速なクレード識別体制の整備が早急に求められています。
GHIT Fundの約7,000万円投資
こうした公衆衛生上の課題を受け、GHIT Fundは約7,000万円を投じてエムポックス検査薬のプロトタイプ開発を支援することを決定しました。
本プロジェクトには、総合医療メーカーであるニプロ株式会社、東北大学発ベンチャー企業の株式会社TBA、国立健康危機管理研究機構(JIHS)、米国の国際非営利団体PATH、そしてコンゴ民主共和国国立生物医学研究所が参画します。
プロジェクトでは、安価で簡便な遺伝子検査法であるIso-PAS法を用い、異なるクレードを識別可能な検査薬のプロトタイプを開発し、その性能評価を行います。
医療インフラが整っていない地方施設では検査体制が十分でないことが多く、従来の方法では迅速な診断が難しい状況が続いています。
本検査薬が実用化されれば、医療資源が限られた地域でも活用でき、早期の診断と適切な治療につながることで感染拡大防止に寄与することが期待されています。
GHIT Fundは投資先の進捗管理にも積極的に関与し、成果が見込めない場合には中止を含む厳格なポートフォリオ管理を行う方針を明確にしています。
国際連携強化と今後の展望
GHIT Fundは2025年9月、新興・再興感染症の研究投資を加速する国際ネットワーク「GloPID-R」に参画しました。
GloPID-Rは各国の研究機関をつなぎ、感染症危機に対して迅速に研究資源を投入するための協力体制を構築する枠組みで、日本からは日本医療研究開発機構(AMED)に続く二番目の参画組織となります。
同事務局は欧州連合(EU)の研究・イノベーション枠組み「Horizon Europe」の助成を受けて運営されており、国際的な研究連携の基盤となっています。
GHIT Fundは今後も革新的診断技術の研究開発を支援し、将来的に発生し得る公衆衛生上の課題に迅速に対応できる体制を強化していく方針です。
また、GHIT Fundは日本政府、国内外の製薬企業、ゲイツ財団、ウェルカム、国連開発計画(UNDP)などが参画する官民パートナーシップとして、マラリア、結核、顧みられない熱帯病(NTDs)などの感染症対策に向けた研究開発投資を続けてきました。
今回のエムポックス検査薬開発支援はその取り組みの一環であり、世界の最脆弱層を守るための国際的な感染症対策を前進させる重要な施策となっています。
- 記事提供元:コンゴ民主共和国を中心に感染拡大するエムポックス検査薬のプロトタイプ開発に約7,000万円を投資|PR TIMES















