AIと航空宇宙技術を活用し、グローバルヘルスおよび気候変動課題に取り組むSORA Technology株式会社は、マラリア対策の衛星解析企業Zmart Ltd.の過半数株式を取得し、子会社化したと発表しました。
今回の買収により、同社がこれまで展開してきたドローンとAIによる現地データ取得・オペレーション技術に加え、Zmartの衛星データと地理空間情報(GIS)を活用したAI解析技術を統合します。
これにより、広域リスクの把握から現地対策の実行までを一体化したマラリア対策の高度化と、アフリカを中心としたグローバル展開の加速を目指します。
ドローン×衛星データでマラリア対策を高度化
SORA Technologyはこれまで、ドローンとAIを活用し、マラリア媒介蚊の繁殖地の特定や感染症対策オペレーションの高度化に取り組んできました。
現地でのデータ取得やフィールドオペレーションの最適化を強みとし、アフリカを中心にマラリア対策の実装を進めてきました。
一方で、より広域の感染リスクを把握し、対策の優先順位を最適化するためには、衛星データや地理空間情報(GIS)を活用した分析との連携が不可欠であると同社は考えています。
今回子会社化したZmartは、衛星画像やGISデータをAIで解析し、マラリア感染リスクの高い地域を特定する技術を持つ企業です。
この統合により、衛星データを活用して広域の感染リスクを把握し、その後ドローンを活用して局所的な繁殖地を精密に検出するという、多層的なマラリア対策が可能になります。
さらに、AIを活用した分析結果を現地オペレーションと連動させることで、対策の優先順位付けやフィールド作業の効率化を実現し、より効果的な感染症対策の実装を目指します。
アフリカで実証された衛星×AIのマラリア対策
Zmartの技術は、すでにサブサハラアフリカ各地で活用されており、その実用性が示されています。
ガーナのオブアシでは、同社のアプリ導入により蚊の繁殖地検出の精度が向上し、蚊の個体数を60%以上削減する成果を達成しました。さらに、対策コストの大幅な削減にもつながっています。
また、サントメ・プリンシペでは政府との協力プロジェクトとしてマラリア対策が実施され、蚊の個体数が約75%減少、マラリア発生率も約52%減少しました。
保護対象者1人あたりのコストは、都市部で0.44米ドル(PPPベース)、農村部で1.41米ドル(PPPベース)という低コストでの対策を実現しています。
さらにタンザニアのザンジバルでは、Gates Foundationの支援を受け、ドローン、衛星画像、AIを活用した蚊の発生源特定と幼虫対策のプロジェクトが実施されています。
この取り組みはZmart、アベリストウィス大学、ザンジバル・マラリア撲滅プログラム(Zanzibar Malaria Elimination Programme)との連携により進められています。
これらの実績は、衛星データとAI解析を組み合わせたマラリア対策が、実際の感染症対策において有効であることを示しています。
宇宙×AIで感染症対策の新インフラ構築へ
今回の子会社化について、SORA Technology Founder兼CEOの金子洋介氏は、「グローバルヘルス分野における“宙(そら)からの統合インフラ”構築に向けた重要な一歩になる」とコメントしています。
Zmartの衛星データ解析技術と、SORA Technologyのドローンによる現場オペレーションを組み合わせることで、マラリアの状況把握と対策の在り方を大きく変革できるとしています。
また、Zmart CEOのArnon Houri Yafin氏も、データとAIを公衆衛生分野のオペレーション設計に統合することで、公衆衛生対策をより効果的かつ広範囲に展開できると述べています。
世界では年間2億人以上がマラリアに感染し、約60万人が命を落としており、その多くは5歳未満の子どもたちです。さらに気候変動や洪水、干ばつなどの環境変化により、蚊の生息域が拡大する可能性も指摘されています。
SORA Technologyは今後、アフリカにおけるLSM事業や世界銀行案件などを通じて収益化を進めるとともに、Gates Foundationなどの助成案件を通じた技術実証や案件パイプラインの構築を進めていく方針です。
また、感染症対策だけでなく、気候変動適応や農業分野などへの技術応用も視野に入れており、宇宙データとAIを活用した新たな社会インフラの構築を目指しています。
- 記事提供元:SORA Technology、マラリア対策衛星解析Zmartを買収・子会社化 宇宙事業への本格参入を発表|PR TIMES
















