原因はどこに?根深いガーナのモチベーション問題
このモチベーション問題、なかなか根深い。
例えば何かワークショップやイベントを開催する際は、必ず用意しなくてはならない。
そうじゃないと「誰もこない」らしい。
会議ではプログラムの13番目にこの「モチベーション」が配られるため、「アイテムサーティーン(13)」とも呼ばれる。
「リフレッシュメント」という言い方もする。
水とジュースとビスケット、1人につき5セディ(150円)といっても、数百人招待するイベントだとバカにならない出費である。
ただでさえお金がなくて苦心して集めたのに、そこにお金をとられるのはなかなか癪だが仕方ない。
公務員は給料とは別に、ワークショップや会議に参加することで手当てがもらえる。
これも「モチベーション」の一種だ。
この悪しき習慣を始めたのは、国際NGOだという話を聞いたことがある。
ミーティングに来てもらうために、もので釣る作戦を始めたのだという。
真偽は分からないが、一度ものをモチベーションにしてしまうと悪い連鎖になるばかりだと心底思う。
JICAが監修した「現場の声からひもとく国際協力の心理学」というマニュアルがある。
この中で、モチベーションをあげるためには「自律性欲求」「コンピテンス欲求」「関係性欲求」という基本的3欲求を支えることが大切であるということが書かれている。
自律性欲求は「やらされていると感じたくない」欲求、コンピテンス欲求は「何かをやり遂げたなどの手ごたえを感じたい」欲求、関係性欲求は「他者との良好なつながりを望む」欲求である。
詳しくは以下のURLから。国際協力に限らず、あらゆる場面で役に立つと思うので参考まで。
(URL: 現場の声からひもとく国際協力の心理学 )
ガーナの人々と付き合っていて、一番強く感じるのは関係性欲求であるが)、それをどう刺激すればいいのか悩んでいるところである。
何かいい案があったら是非教えていただきたい。
といろいろとマイナス面を書いてしまったが、これはほんの一面にすぎない。
今私は郡役所でプラスチック回収事業の立ち上げに取り組んでいる。
環境を綺麗にする+雇用を生み出すことという、2つの目標を達成するための仕組み作りをしている。
今年に入ってから6人に働いてもらっているのだが、払えるお金が少ないにも関わらず、お願いしていない日も自主的に仕事をしてくれたりする。
私たちの活動が意図するところをくみ取り、それを誇りに思って働いてくれていることが伝わってくる。
きちんと彼らの労働に見合う対価を支払えるようにならなくては、と日々奔走している。
恐らくどこにいても人を動かすのは難しいことであり、このモチベーション問題にぶち当たるのであると思うが、残りの任期も試行錯誤してみようと思う。
Akane Kobayashi
記事提供元:ガーナのモチベーション問題|WWJ.world