デジタル格差が引き起こす教育格差!サハラ以南アフリカの子ども90%がネットにアクセスできず!

ユニセフ(国連児童基金)と国際電気通信連合(ITU)の新しい報告書『家庭でインターネットに接続できる子ども・若者の数は?』を2020年12月1日に発表しました。

同報告書によると、世界の学齢期の子どもの3分の2、つまり3歳から17歳までの13億人が、自宅でインターネットに接続できないことが明らかになりました。

15~24歳の若者の間でも同様にインターネットへのアクセスが不足しており、7億5,900万人(63%)が自宅でインターネットを利用できないと指摘しています。

デジタル格差が引き起こす教育格差!


写真:自宅で小学6年生の教科書を読み、練習問題に取り組む11歳のラファエルくん。家族が携帯電話を持っていないため、オンライン学習に参加できずにいる。(ケニア、2020年7月撮影) © UNICEF_UNI362245_Everett

世界で約2億5,000万人の学齢期の子どもがCOVID-19による休校の影響を受けており、何億人もの人がオンライン学習に頼らざるを得ない状況になっています。

その場合、インターネットにアクセスできない子どもたちにとって、教育は手の届かないものになります。

パンデミック以前より、21世紀の経済界で競争するために、基礎的なスキル、応用可能なスキル、デジタルスキル、仕事に特化したスキル、起業家スキルを学ぶニーズは増え続けていました。

「多くの子どもや若者が自宅でインターネットを利用できないことは、デジタル・ディバイド(gap:裂け目)というより、言うならばデジタル・キャニオン(canyon:峡谷)です」とユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは述べています。

また「接続性の欠如は、子どもや若者のインターネットへの接続能力を制限するだけでなく、近代経済の中で競うことができなくなります。

それによって、子どもたちを世界から孤立させてしまうのです。そして、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のために何百万人もの子どもたちが経験しているような休校措置がとられた場合、教育を受ける機会を失うことになります。

即ち、インターネットへのアクセスの欠如によって、次世代の未来が犠牲になるのです」と指摘しています。

サハラ以南アフリカと南アジアが最も深刻!

ユニセフ(国連児童基金)と国際電気通信連合(ITU)の新しい報告書『家庭でインターネットに接続できる子ども・若者の数は?(原題:How Many Children and Youth Have Internet Access at Home?)』を2020年12月1日に発表しました。

報告書によると、世界的に見ても裕福な家庭の学齢期の子どもたちの58%が自宅でインターネットに接続しているのに対し、貧しい家庭の子どもたちは16%に留まります。

この格差は、国の所得水準によっても存在します。

自宅でインターネットに接続できる低所得国の学齢期の子どもは20人に1人未満に留まっているのに対し、高所得国では約10人中9人です。

また、国や地域間の地理的な格差もあります。世界的に見て、都市部の学齢期の子どもの約60%が自宅でインターネットにアクセスできないのに対し、農村部では約4分の3がアクセスできません。

サハラ以南アフリカと南アジアの学齢期の子どもが最も影響を受けており、10人に9人の子どもがインターネットに接続できません。

家庭でインターネットに接続していない3~17歳の学齢期の子ども

  • 世界:13億人(67%)
  • 西部・中部アフリカ:1億9,400万人(95%)
  • 東部・南部アフリカ:1億9,100万人(88%)
  • 中東・北アフリカ:8,900万人(75%)
  • ラテンアメリカ・カリブ海諸国:7,400万人(49%)
  • 南アジア:4億4,900万人(88%)
  • 東欧・中央アジア:3,600万人(42%)
  • 東アジア・太平洋地域:1億8,300万人(32%)

ネットインフラの整備に向け官民混合の資金調達を目指す!


アフワーズ郊外の農村部で暮らす9歳のマルヤンさん。自宅でインターネットが利用できず、学習を続けることができずにいる。(イラン、2020年4月撮影) © UNICEF_UNI344454_

ユニセフとITUは2019年に、すべての学校とその周辺コミュニティをインターネットに接続するための世界的なイニシアチブであるGIGAを立ち上げました。

GIGAは政府と連携し、現在30カ国で80万校以上の学校をマッピングしました。

このデータをもとに、GIGAは政府、産業界、民間部門、およびパートナーと協力し、デジタル学習のソリューションやその他のサービスを展開するために必要な接続インフラを構築するための官民混合の資金調達に向け、説得力のある投資事例を作成しています。

また、GIGAは現在、Reimagine Educationイニシアチブの下で、「Generation Unlimited」(無限の可能性を秘めた世代)と連携しています。

ユニセフは、Reimagine Educationイニシアチブを通じて、教育の危機に対応し、子どもや若者が質の高いデジタル学習に平等にアクセスできるようにすることで、教育を変革することを目指しています。これを達成するための鍵となるのが、普遍的なインターネットへの接続です。

これらの努力と若者のエンゲージメントの重要性を踏まえて、若者がデジタルの世界に参加し、エンゲージメントできるようにするためにITUが立ち上げたイニシアチブがGeneration Connectです。

ユニセフとITUの報告書のデータは憂慮すべき状況を示していますが、支払い能力、安全性、デジタルスキルの低さなどの複合的な要因により、状況はさらに悪化している可能性があります。

ITUの最新データによると、購買力に大きな格差がある開発途上国においてはいまだ携帯電話やインターネット接続は高価であることに加え、デジタル社会に有意義に参加するためには、デジタルスキルの低さが障壁となっていることに変わりはありません。

子どもたちが家でインターネットに接続できる環境があっても、家事や仕事をしなければならない、家庭に十分な機器がない、女の子のインターネット利用が許可されていない、オンラインでの機会の活用方法が理解されていないなどの理由で、接続できない場合があります。

また、親が子どもの安全を守るための準備が不十分である場合には、インターネット上の安全性という課題もあります。


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