ユニセフ事務局長キャサリン・ラッセル氏は、2024年6月28日にイタリアのトリエステで開催されたG7教育大臣会合において、世界中の子どもたちが教育を受ける権利を実現するための支援を訴えました。
特に紛争地域や貧困に苦しむ子どもたちへの支援が急務であると強調し、教育の質の向上やテクノロジーの活用について具体的な提案を行いました。
また、彼女はスーダンでの現状を報告し、国際社会に対して子どもたちの期待に応えるよう呼びかけました。
スーダンの子どもたちの現状
ユニセフ事務局長キャサリン・ラッセル氏は、スーダンの訪問から戻り、G7教育大臣会合でその現状を報告しました。
スーダンでは戦闘が続き、約1,700万人の学齢期の子どもたちが学校に通えない状況が続いています。
ラッセル氏は、避難民キャンプで出会った子どもたちが困難な状況にもかかわらず、希望を持ち続けていることに感銘を受けたと述べました。
彼女が出会った多くの子どもたちは、家族や友人、学校を失い、避難生活を余儀なくされています。
それでもなお、将来への希望を失わず、弁護士や医者、建築家になる夢を抱いています。
しかし、国際社会はこれらの子どもたちの期待に応えられていないと彼女は指摘しました。
特にスーダンの子どもたちの教育問題は深刻であり、国際社会の支援が不可欠です。
ラッセル氏は、教育の機会を提供することが子どもたちの未来を開く鍵であると訴えました。
ポートスーダンの国内避難民キャンプで、紛争により避難してきた15歳のルジャインさん(左)と14歳のボタイナさん(中央)と話すラッセル事務局長。(スーダン、2024年6月25日撮影) © UNICEF_UNI599909_Elfatih
世界中の教育危機とその影響
ラッセル氏は、スーダンだけでなく、コンゴ民主共和国やガザ、ハイチなどの紛争地域の子どもたちが教育を受ける権利を奪われている現状についても言及しました。
新型コロナウイルス感染症やウクライナの戦争も子どもたちの学習を妨げています。
これらの状況は、世界中で深刻な教育危機を引き起こしています。
教育が一人ひとりの子どもにとって重要であるだけでなく、地域社会や国家の安定にも不可欠であるとラッセル氏は強調しました。
特に、最も弱い立場にある子どもたちへの支援が急務です。「誰一人取り残さない」という原則を共同声明に反映するよう求めました。
特に女の子たちは紛争や災害の影響で学校を中途退学する可能性が高く、一度退学すると復学が非常に困難になります。
ユニセフは、これらの女の子たちを含むすべての子どもたちの教育を支援するために全力を尽くしています。
北キブ州のゴマ近くにある国内避難民キャンプ内の仮設学習スペースで、授業を受ける子どもたち。避難民の子どもたちが学習を続けられるよう、ユニセフが設置した。(コンゴ民主共和国、2024年6月24日撮影) © UNICEF_UNI604231_Benekire
質の高い教育を提供するための提案
ラッセル氏は、教育の質と効果を向上させるためにいくつかの提案を行いました。
まず、単に子どもたちを学校に通わせるだけでなく、実際に学習させることが重要です。
教育の質を向上させることが必要です。
次に、イノベーションとテクノロジーを活用して、特に女の子たちに質の高い学習を提供する方法を模索することが重要です。
人工知能(AI)もこの取り組みに活用すべきだと述べました。
G7参加国は、これらの取り組みを支援する重要な役割を担っています。
最後に、ユニセフは効果的な学習教材で教員を支援し、子どもたちが学習を続けられるよう努めています。
各国の財務大臣や開発担当大臣にも、教育の重要性を再認識してもらうよう呼びかけました。
教育は権利であり、全ての子どもたちにとって不可欠であると強調しました。
12歳で結婚を強いられ学校を退学し、3人の娘がいる16歳のユスラさん。今はユニセフの支援を受けて、読み書きと計算を学んでいる。(イエメン、2024年1月撮影) © UNICEF_UNI530019_Gabreez
- 記事提供元:学校に通えない子ども、世界で2.5億人~教育を受ける権利の実現への手助けを【プレスリリース】|PR TIMES