ユニセフ(国際児童基金)はアフリカ大陸東部地域で、急激な飢餓や栄養不良、水不足など深刻な干ばつに影響されている子どもが増加していると発表しました。
このような子どもが、今年2月から4月にかけての2ヶ月間で40%以上、人口にして約725万人から約1,000万人以上にまで急激に増えています。
干ばつの影響を受けるカバサ国内避難民キャンプの様子。ユニセフは命を守る保健・栄養支援を続けている。(ソマリア、2022年2月撮影) © UNICEF_UN0591426_Taxta
「アフリカの角」で危機に晒される子どもたち
「アフリカの角」と呼ばれる大陸東部地域では、エチオピア、ケニア、ソマリア全体で170万人以上の子どもが重度の急性栄養不良に陥っており、緊急の治療を必要としています。
今後数週間、雨が降らなければ、このような子どもは200万人にまで増加するとされています。
医師による検査を受ける赤ちゃん。重度の栄養不良に苦しんでいる。(エチオピア、2022年4月12日撮影)© UNICEF_UN0625001_Sewunet
約半世紀で最悪の干ばつ!
この干ばつは、東部地域においては過去40年間で最悪のもので、地域全体が気候危機に見舞われていることの現れでもあります。
乾季が3シーズン続いたことで、何十万人もの人々が家を追われ、家畜や作物が失われ、栄養不良は深刻化し、更には、病気が蔓延するリスクが高まっています。
もしソマリアで雨季が来ないまま4シーズン目に入ってしまい、食料価格の高騰が続き、また人道支援が間に合わなければ、6月末までに8万1,000人以上が飢饉状態に陥る可能性があるとされています。
ユニセフは、現地での詳しい影響を以下のようにまとめています。
- 「アフリカの角」全域で、この2ヶ月間に、清潔で安全な水にアクセスできない世帯数が560万世帯から1050万世帯となり、ほぼ倍増。
- 食糧不安に分類される人々の数が、900万人から1600万人に増加。
- 学校に通っていない子どもの数は1500万人であり、驚異的な水準の高さになっている。また、数千の学校では既に水へのアクセスが途絶えており、更に110万人の子どもが中途退学する可能性がある。
緊急支援の一方、影を落とす資金不足
この事態を踏まえ、ユニセフは緊急支援の要請額を1億1,900万米ドルから約2億5,000万米ドルにまで増額しましたが、これまでに獲得できた資金はまだ必要分のわずか20%ほどです。
ユニセフ・東部・南部アフリカ地域事務所の代表であるモハメド・マリック・フォールは、「今行動しなければ、数週間のうちに、亡くなる子どもが急増してしまいます。飢饉はすぐそこまで来ています」とのコメントを寄せました。
ケニアで暮らすソフィアさん。干ばつは子どもたちの栄養状態にも影響を及ぼしていると語る。(ケニア、2022年1月撮影)© UNICEF_UN0582078_Ekwam