JICAは、チュニジア政府と共同で技術協力プロジェクト「品質/生産性向上及びBDS普及促進プロジェクト(フェーズ3)」を開始しました。
プロジェクトはカイゼンを広く普及させ、国内企業の競争力を強化し、SDGs達成に貢献することを目指しています。
カイゼン普及と産業競争力強化の背景
零細・中小企業が99%以上を占めるチュニジアの企業環境において、経済成長を促進するために立ち上げられました。
2011年の革命以降、チュニジアは地域間格差や高失業率などの課題を抱えており、経済成長率も2011年から2019年の間に平均1.5%と低迷しています。
さらに、コロナ禍やエネルギー価格の高騰が経済に打撃を与え、2020年末には失業率が17.4%に達しました。
このような状況を受け、チュニジア政府は零細・中小企業の品質・生産性向上を通じて、経済成長と産業競争力の強化を目指しています。
プロジェクトの目的と活動内容
2024年3月19日、国際協力機構(JICA)はチュニジアの首都チュニスで、チュニジア政府との間で「品質/生産性向上及びBDS普及促進プロジェクト(フェーズ3)」に関する討議議事録(Record of Discussions: R/D)に署名しました。
本プロジェクトは、カイゼン普及のための恒久的組織の体制整備と人材育成を目的としています。
産業・鉱山・エネルギー省をはじめとする関連機関が主導し、品質生産性向上のための組織体制を強化します。
具体的な活動内容には、カイゼントレーナーの育成、トレーナー認定制度の運用、カイゼンの需要を喚起するための啓発活動やマーケティングが含まれます。
また、職業訓練校でカイゼン研修カリキュラムの試行導入を行い、その効果を評価し改善することで、より効果的なカリキュラムの確立を目指します。
これにより、カイゼンの知識と技術を広める基盤が整備されます。
アフリカ諸国へのカイゼン展開とSDGsへの貢献
このプロジェクトは、チュニジア国内のみならず、アフリカ諸国へのカイゼン普及も目指しています。
具体的には、啓発セミナーの開催や他国のカイゼン実施機関と連携し、知識と技術を広める活動が計画されています。
また、アフリカ・カイゼン・イニシアティブの一環として、政策レベルでの啓発活動や普及拠点の整備、カイゼン活動の標準化などの取り組みも進められます。
これらの活動は、SDGsのゴール8「包摂的で持続可能な経済成長とディーセント・ワーク」およびゴール9「強靭なインフラの構築、包摂的で持続可能な工業化の促進とイノベーションの育成」に寄与し、チュニジアおよびアフリカ全体の持続可能な発展を支援することが期待されています。
- 記事提供元:チュニジア向け技術協力プロジェクト討議議事録の署名:カイゼンの全国展開を通じて国内企業の競争力向上に貢献|JICA ニュースリリース