栗林商船株式会社は2025年7月1日、日本植物燃料株式会社(NBF社)が推進するモザンビークでのバイオ燃料サプライチェーン構築に関する事業化調査(FS)への共同参画に向け、基本合意書を締結しました。
本事業は、パリ協定やFuelEU Maritime規制への対応を背景に、海運業界の脱炭素化に資する取り組みとして注目されています。
モザンビーク北部ナカラ回廊において非可食作物ジャトロファの大規模栽培からバイオ燃料製造・輸送までを一貫して行う本プロジェクトは、環境保全と地域経済の活性化の両立を目指すものです。
バイオ燃料需要拡大と事業参画の背景
近年、地球温暖化への国際的な対応としてバイオ燃料の利用が拡大する中、2025年1月に発効した「FuelEU Maritime」規制により、海運業界も温室効果ガス(GHG)の削減を求められるようになりました。
こうした背景のもと、栗林商船は内航・外航を問わず環境課題に取り組む姿勢を示し、日本植物燃料株式会社(NBF社)とともに、モザンビークで進められているバイオ燃料サプライチェーン構築事業の事業化調査(FS)に共同で参画することを決定しました。
本事業は経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」にも採択されており、公的支援を受けながら脱炭素化と持続可能なエネルギー供給体制の構築を目指しています。
今回の基本合意書締結により、栗林商船は海運分野における持続可能な燃料導入を本格的に検討していくことになります。
モザンビークでの一気通貫型生産体制を構築
本事業では、モザンビーク国内でジャトロファの植樹、栽培、収穫、搾油、バイオ燃料化、保管、さらには輸送までを一貫して行う体制の構築が進められています。
ジャトロファは乾燥地でも育成可能な非可食作物であり、食料生産と競合することなく未利用地を活用できる点が評価されています。
さらに、ジャトロファの剪定枝や搾油残渣はバイオ炭として活用され、土壌改良を促進することで現地の農業生産の向上にもつながります。
これにより、半乾燥地帯の緑化や環境保全と並行して、持続可能な農業基盤の整備が可能となり、地域住民の雇用創出や生活向上にも寄与します。今後は段階的に農家との契約栽培を広げ、働きがいのある仕事と安定収入を提供する仕組みを構築していく計画です。
ナカラ回廊との連携による地域・国際貢献
本事業の対象地域は、モザンビーク北部のナカラ港からマラウイ・ザンビアへとつながるナカラ回廊沿いに設定されています。
この地域は、モザンビーク政府が推進する「ナカラグリーン産業回廊構想」の重要エリアであり、輸出入における戦略物資の主要ルートでもあります。NBF社は、この回廊沿いにおけるジャトロファの栽培を通じて、同国の産業政策にも貢献する構えです。
加えて、NBF社が20年以上にわたり改良を進めてきた高収量品種のジャトロファは、在来種の50倍の収量を実現するものであり、安定したバイオ燃料の供給が可能となります。
こうした取り組みは、日本とアフリカとの新たなグリーンエネルギー連携モデルとしての期待も高まっており、栗林商船にとっても国際的な価値創造と持続可能な社会づくりへの大きな一歩となる見込みです。
- 記事提供元:栗林商船、非可食作物ジャトロファ由来のバイオ燃料サプライチェーンに関する事業化調査に共同参画|PR TIMES















