2015年「Global Entrepreneurship Monitor」によって発表された調査が、世界中の起業家に大きな衝撃を与えました。世界で最も起業家が多い国はウガンダで、成人人口の28.1%が2015年6月までの42カ月以内に起業しているというのです。これは、2位のタイの16.7%に大きな差をつける圧倒的な数字で、ちなみに日本は1.3%で下から4番目に位置しています。
ウガンダでは、外資の大手企業の参入はまだ始まったばかりで、約4,000万の人口に十分な雇用を提供できる規模を持つ現地企業の数もまだまだ足りません。そのため国は、新しい雇用主を切望し、また新しいビジネス機会で溢れているのです。ウガンダでは、起業の機が熟しているのです。今回は、駐日ウガンダ大使館と「East x East」プロジェクトを実施する、アイディオロジー・インターナショナルが調査した注目の3つの起業家を紹介します。
Endiro Coffee:ウガンダの新しいカフェ文化を牽引する女性
世界でも有数のコーヒー輸出大国であるウガンダは最近まで、コーヒーの消費量は決して多くありませんでした。お洒落でモダンなインテリアを誇る「Endiro Coffee」は、そんなウガンダのカフェ文化のパイオニア的存在の一つです。近年ウガンダを訪れる外国人の数が増加し続けていることを受けて、Endiro Coffeeは2011年に第一号店をオープンし、現在は5店舗を運営しています。美味しいコーヒー、健康的なフード、洗練された内装、そして忘れてはならないWi-Fiを目当てに、たくさんの外国人客がEndiro Coffeeに集まっています。
しかし、Endiro Coffeeがウガンダに与えた影響は、単にウガンダにコーヒー・ルネサンスとも呼ぶべき、新しい風を吹き込んだことだけにとどまりません。Endiro Coffeeのモットーは「brewing a better world(より良い世界をつくる)」です。創設者で代表取締役のグロリア・カトゥシーメさんは、「私たちは企業理念、企業戦略、社会活動の全てにおいて、特に弱い立場にある子どもたちのために、より良い未来をつくることを目指して設計されています」と話します。
伊藤 淳氏:日本の宅配サービス基準をウガンダへ
日本人の伊藤 淳氏は、2014年にそれまでコンサルタントとして勤めていたアクセンチュアを退職し、起業家としてウガンダで人材育成会社WBPF Trainingやビジネス・インキュベーターFabLab Kampalaなど、さまざまな事業を起こしてきました。伊藤氏が最近取り組んでいる事業の一例には、日本のバイク便をモデルにした宅配サービス、CourieMateがあります。
「ウガンダの宅配業に力強い未来があることは明らかです」と伊藤氏は言います。交通渋滞が深刻なカンパラでは、いち早く宅配便を届ける手段はバイクであり、法人の顧客からも個人の顧客からも需要が非常に高くなっているそうです。
自身の貯蓄と数人の友人からの支援のみで事業を立ち上げることができた伊藤氏は、どうしてそれが可能なのか、次のように話します。「大企業のブランドは近隣の数カ国では定着しているものの、ウガンダにはまだ乗り出し始めたばかりなので、今のウガンダで起業する人はより低いコストで迅速に市場に参入することができるのです。そして、既にウガンダに来ている企業であっても、まだ事業戦略を計画している段階のものが多いのです」
伊藤氏の真の望みは、人々とビジネスをつなげるプラットフォームを作ることだそう。「人を繋げることによって、グローバル社会に新たな一石を投じることのできる、持続可能性のあるエコシステムをアフリカで構築・発信していきたい」と語ります。
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