国連が飢饉宣言、人為的要因

2017年2月20日、国連食糧農業機関(FAO)は南スーダンで飢饉(Famine)が発生したことを宣言した。既に10万人が飢餓状態にあり、さらに100万人が飢餓に陥る危機的状況下にある。FAOのスポークスマンは今回の飢饉が人為的要因(Man-made)によるものであることを強調する。

「戦争、国内経済の崩壊、人道援助へのアクセスが確保できないことが主な要因であり、国際社会からの迅速な支援が実現しなければ、多くの死者が出ることは避けられない。」

かつては自然災害に起因して発生すると考えられていた食糧不足だが、現代では人為的要因によるところが大きい。今回の南スーダンは内戦状態にあり、人為的要因によって飢饉が発生する顕著な例と考えられる。国内紛争の勃発によって国内経済は崩壊し、開発援助機関も撤退せざるを得なくなったことからも明らかだろう。

なお、飢饉が確認されたのは、2011年にソマリアで発生した旱魃以来初めてのことで6年ぶり。


Source: World Food Programme

JICAのビジョン「人間の安全保障の実現」の真価が問われる

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日本国内では南スーダンで戦闘があったのかどうか、自衛隊のPKO撤退の是非などが日々議論されている。その矢先に南スーダンでは飢饉が発生し、国際社会からは先進国の役割が期待されているのが現状だ。

6年前のソマリアにおける飢饉の際、私はJICAの支援方針を考える立場にあった。その時の経験を踏まえれば、今後、西側諸国を中心に人道支援へのコミットメントが始まり、日本だけが沈黙を貫くことは難しくなる。

一方、内戦下で支援活動を行うには危険が伴うため、邦人職員を派遣して調査・事業を実施することは極めて困難となることが想定される。そのため、既に現地で活動を行っている国際機関やNGOとの連携が有効な選択肢となる。例えば、2011年のソマリアにおけるJICAの活動に関しては、国際移住機関(IOM)と連携し、首都モガディシュの国内避難民を対象とした給水・衛生分野の調査実施を行った。

ただ、前回のソマリア支援の状況と比較すると、今回は大きく状況が異なることも指摘しておきたい。現時点での日本の南スーダンにおけるプレゼンスだけを考えれば、少なくとも自衛隊および国際協力機構(JICA)(現地スタッフのみ)が現地で活動しており、活動実績や支援体制もある。

実務的には多くの困難が想定されるが、国際社会から日本が重要な役割を求められていることは間違いないだろう。そして、人間の安全保障をビジョン(社命)として掲げるJICAに託された期待は大きい。


参考資料

Povertist


記事参照元:南スーダンで国連が飢饉を宣言、食糧不足の原因は人為的要因The Povertist
Cover Image Photo credit: UNICEF Ethiopia via Visual Hunt / CC BY-NC-ND

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Ippei Tsuruga
The Povertistの編集長。アジアやアフリカでの開発援助業務に従事する貧困分析・社会政策のスペシャリスト。国際労働機関(ILO)児童労働撤廃プログラムインターンの後、国際協力機構(JICA)入構。アフリカ部ケニア、ソマリア、ナイジェリア国担当、研究所リサーチオフィサー、研究調整者、副調査役を経て、アメリカ事務所駐在員。現在は、ILOで開発途上国の貧困層に対する社会保障制度設計に従事している。香川大学法学士、英国サセックス大学開発学研究所貧困と開発修士。