2017年7月26日、国際協力機構(JICA)はルワンダ政府と技術協力プロジェクト「ICTイノベーションエコシステム強化プロジェクト」に関する討議議事録に署名しました。「ICT立国」を掲げるルワンダにおいて、3年間かけてICT分野で新規ビジネスを立ち上げるための環境である「ICTイノベーションエコシステム」の強化を支援します。
ICT立国として発展を続けるルワンダ!
アフリカ東部の内陸に位置するルワンダ共和国は、1994年に内戦で多くの人命を失いました。しかし、2000年代に「ICT立国」を掲げ、規制緩和などを通じてビジネス環境を整えることによって多くの国内外の投資家を魅了し、戦後復興、高い経済成長を達成してきました。その治安回復・教育水準向上のスピードの速さから「アフリカの奇跡」とも呼ばれています。現在、世界銀行が発表している報告書「Doing Business 2017(ビジネス環境 2017)」では、アフリカで2番目にビジネスがしやすい国として高く評価されています。
JICAはこれまでICT分野において、ICT政策に関するアドバイザー派遣や日本企業とのパートナーシップ強化を実現してきました。2016年5月12日には「ほぼあらゆるもの(”almost anything”)」をつくることを目標として、ICT技術を活用した3Dプリンタやカッティングマシンなど多様な工作機械を備えたモノづくり共有スペースであるインキュベーション・スペース”ファブラボ(FabLab)”を設置しました。また、トゥンバ高等技術専門学校の設立支援や理数科教育の強化を通じてICT産業を下支えする人材育成も行ってきました。
JICA、ICTイノベーションエコシステム強化を支援
JICAとルワンダ共和国政府は首都キガリにおいて、技術協力プロジェクト「ICTイノベーションエコシステム強化プロジェクト」に関する討議議事録に署名したと発表しました。同プロジェクトでは、関連省庁や商工会議所などICTセクターにおける既存の関係者や新たに参入するICT企業、投資家、教育機関などの国内外の多様な関係者が効果的・効率的に繋がりあい、新規ビジネスを立ち上げるための環境である「ICTイノベーションエコシステム」の強化を行います。
具体的には青年ICT省、ICT商工会議所、ルワンダ開発庁、ルワンダ情報化振興局をカウンターパートとして、ルワンダ全土を対象に、民間企業活動を中心としたICTセクターやその他セクターにおける創造的なICT活用の促進、ICT分野での起業及びイノベーション促進のための政策枠組みの改善、ICTに関連したルワンダ企業と本邦企業の関係強化、創造的なICT活用事例のルワンダ及びルワンダ国外への発信能力の強化が実施されます。実施期間は2017年10月から2020年9月の3年間の予定です。
ICT分野での人材育成を通じた連携も期待!
その他、神戸情報大学院大学(KIC)が2017年2月より実施している草の根技術協力「キガリを中心とした若手ICT人材育成事業」(神戸市)との補完関係となることが期待されています。この事業では、ICT分野で教育を受けたルワンダの若手人材45人に対し、KICの「探究実践」やビジネススキルなどの研修を実施し、企業の求める実務能力を持った若手人材を育成しています。
またルワンダからはICT分野で学ぶ留学生が「ABEイニシアティブ(アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ)」に多数参加しており、本プロジェクトと帰国した留学生との有機的な連携も期待されます。
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- 記事提供元:ルワンダ向け技術協力プロジェクト討議議事録の署名:ルワンダをアフリカのイノベーション大国へ(JICA ニュースリリース)/ルワンダでのICT人材育成事業に関する覚え書きを締結しました(神戸情報大学院大学)
- 参考記事:第3章 – ルワンダ ICT立国編 :ルワンダは、世界の未来を先取りする国になる?
- Cover Image Photo credit: Francisco Anzola Outside Simba supermarket via photopin (license)