毎年10月16日は、何の日か、ご存知でしょうか。この日は、国連が定めた世界食料デーです。この日をきっかけに、世界の食料問題について考えようと定められました。先月、国連機関が発表した飢餓人口は、8億1500万人でした。世界では、さまざまな要因から慢性的に飢餓に苦しむ人々がおり、9人に1人が飢餓に苦しんでいます。この問題について、今回より全4回にわたって、飢餓のない世界を創る活動をしている国際NGO『ハンガー・フリー・ワールド』がアフリカで実施している活動を通して考えていきます。
飢餓のない世界を創る、国際NGO!
2017年9月、国連機関は現在の飢餓人口は、8億1500万人と発表しました。これまでよりも増加しており、中東や南サハラ以南のアフリカでの紛争や自然災害などがその原因とされています。これらニュースで報じられる以外にも、世界では、さまざまな要因から慢性的に飢餓に苦しむ人々がおり、9人に1人が飢餓に苦しんでいます。
国際NGOのハンガー・フリー・ワールド(HFW)は、こうした状況を改善するため、日本国内のほか、アフリカのベナン、ブルキナファソ、ウガンダ、そして南アジアのバングラデシュで活動しています。
紛争や自然災害時などの緊急時には食料支援が必要ですが、慢性的な飢餓は、社会のしくみや国際間の貿易の不均衡など、改善のための継続した働きかけが必要です。
住民に寄り添った事業を推進!〜ベナンの事例〜
HFWのいずれの活動国も、対象地域の人々のほとんどが農村部の貧しい農家で、農業による収入が限られており、栄養についての知識も普及していません。その結果、量、質ともに十分でない食事をとっており、健康不良に悩まされ、5歳未満児の死亡率も高いままです。
たとえば、ベナンでは、成人の識字率が29%(ユニセフ『世界子供白書』2017より)と低く、高い収入を得る仕事に就けないばかりか、生活に必要な知識や情報の習得を阻んでいます。HFWでは、5歳未満の栄養不良児を対象にした栄養改善事業に加え、青少年と成人対象の識字教室を運営し、地元のフォン語の読み書きと計算を教えています。
教材には、栄養や食料、食料を生産するに欠かせない土地の制度についてなど生活に必要なテーマを扱い、実際に生活していくのに必要な知識を教えています。平行して啓発集会を開き、字が読めなくても理解できるよう、歌や踊り、寸劇などで、栄養や衛生について伝えています。
いずれの事業も住民から選ばれた地域のことをよく知る事業の担い手がHFWをサポートしており、住民と密にコミュニケーションをとりながら事業を進めており、住民からは信頼が寄せられています。識字教室の卒業生が今では教師となって、地元の発展のために尽力するなど、地域を支える人材も育っています。
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