2016年1月14日、世界保健機関(WHO)はアフリカの西部に位置するリベリアでエボラ出血熱の終息宣言を行いました。「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態(PHEIC)」として宣言された大流行は、最も被害の大きかった西アフリカ3カ国で新たな感染者が出なかったことから約2年で終息しました。
ただ再発の可能性も残っており、これを機に、国境なき医師団(MSF)は、世界の保健医療体制が今回の教訓を生かし、同様の流行が将来起きた場合に備えるべきと呼びかけています。エボラ流行によって、もともと手薄だった保健医療体制は深刻な被害を受けました。今後も警戒態勢と新規感染者への対応力を保持していくとともに、監視と迅速な対応体制がうまく機能するように保つことが不可欠です。
また偏見が根強く、後遺症が残るなど弱い立場に置かれているエボラ回復者に対するケアも必要となっています。MSFはリベリア、シエラレオネとギニアで、エボラ回復者クリニック開設に資金を投じ、包括的なケアを提供しています。
MSFはこれまで合計で9600万ユーロ(約122億7514万円)をエボラ対策に投じ、流行の初期から被害が最も大きかった3大流行国であるギニア、リベリアとシエラレオネを始め、ナイジェリア、セネガル、マリやコンゴ共和国でも治療センターの設置や心理ケアなど対応を行ってきました。流行の最盛期には、4,000人近くの現地スタッフと325人以上の外国人スタッフを動員し、これまでMSFのエボラ治療センターに入院した患者は合計1万376人、うち5,226人はエボラ感染が確認されました。
流行地域であったシエラレオネは11月に、ギニアは12月に新規感染がウイルスの潜伏期間の2倍にあたる42日間報告されなかったため、エボラ出血熱の終息宣言を行っていました。
引用・写真元:国境なき医師団(プレスリリース)