ユニセフ(国連児童基金)は、第四回アフリカ閣僚会議の開催に合わせて、サハラ以南のアフリカでは9,500万人もの子どもたちが出生登録をされていない現状を2017年12月8日に発表しました。ユニセフは、現状のままでは2030年には未登録の子どもの数が1億1,500万人近くにものぼる可能性があることを指摘しています。
ユニセフ、アフリカの出生登録の現状を発表!
ユニセフによると、サハラ以南アフリカでは過去16年間にわたり、出生登録の普及率が改善していないことが、傾向分析により明らかになったとしています。子ども人口の急増と現在の遅い変化の傾向では、サハラ以南アフリカでは、2030年までに、未登録の子どもの数が1億1,500万人まで跳ね上がる可能性があります。これは、持続可能な開発目標(SDGs)が掲げる、2030年までに全ての人々に出生登録を含む法的な身分証明を提供するとしたターゲット16.9を達成できないことになります。
しかし、数々の難題を抱えているにもかかわらず、アフリカ大陸全体のデータは、特に保健分野や予防接種キャンペーンのような子どもへの保健ケアサービスなど他の社会サービス分野と共同で展開することで、保健施設や家で産まれた子どもの登録を促進し増やすことが可能であることを示しています。
ユニセフは、アフリカ大陸全土における出生登録を含む国民登録制度を恒久的に改革することを目的とした、アフリカ国民登録・人口統計改善加速プログラム(APAI-CRVS: African Programme on Accelerated Improvement of Civil Registration and Vital Statistics)をサポートしており、アフリカ各国に対して国民登録・人口統計制度を機能させるための重要な最初の手続きとして、出生登録を優先させるよう呼びかけています。
各国政府に国民登録制度の改革求める!
ユニセフ・東部・南部 アフリカ地域事務所代表のレイラ・パカラ氏は「身分を証明するもの、年齢を証明するもの、国籍を証明するものも持たない、未登録の子どもたちは、児童婚、児童労働や武装勢力による徴用・徴兵などの人権侵害を受けやすくなります」とこの状況が危険であると警告を鳴らしています。
またユニセフ西部・中部アフリカ地域事務所代表のマリー・ピエール・ポワリエ氏は、「アフリカ大陸のいくつかの国々の例は、保健サービスと国民登録サービスを抱き合わせることで、低い新生児登録率を改善することが可能である」と各国政府に国民登録制度の改革求めています。
今回発表された報告書(英文)は、 こちらよりご覧いただけます。
記事提供元:サハラ以南アフリカ地域 法的に“存在しない”子ども、9,500万人5歳未満児の半数以上が出生未登録|ユニセフ ニュースリリース