アフリカ東部・南部でエムポックス(サル痘)の集団発生が広がり、特に子どもたちが深刻な影響を受けています。ユニセフは国際社会に対し、緊急支援を呼びかけています。
エムポックスの集団発生が急速に拡大
アフリカ東部および南部の5カ国で、エムポックスの集団発生が確認されています。特にブルンジでは、170例もの感染が報告され、国内49の地域のうち26地域に広がっています。
この新しい変異株は、特に幼い子どもたちにとってリスクが高いとされています。報告された症例のうち約60%が20歳未満で、5歳未満の子どもが全体の21%を占めています。
ブルンジでは、エムポックスの感染に加えて、低い予防接種率や高い栄養不良率が深刻な問題となっています。
これにより、エムポックスと並行して、はしかの集団発生も起こり、さらなる医療負担がかかっています。多くの地域で医療資源が不足しており、検査キットや医薬品の供給が追いつかない状況です。
ユニセフは、ブルンジ政府と連携して、エムポックス対策を進めています。特に感染が多い地域では、予防対策に関する啓発活動が展開され、3,000症例の治療を支援するための医療キットが提供されています。これにより、子どもたちへの保護を強化し、感染拡大の抑制を目指しています。
写真:栄養不良と診断され、栄養センターで、すぐに食べられる栄養治療食を与えられる子ども。(ブルンジ、2024年3月撮影) © UNICEF_UNI547559_
エムポックスがもたらす二次的な影響
エムポックスの集団発生は、子どもたちに直接的な健康リスクをもたらすだけでなく、二次的な影響も懸念されています。病気による偏見や差別、そして教育の中断が深刻な問題として浮上しています。
特に女性や女の子たちは、ジェンダーに基づく暴力や家事負担の増加といったリスクに直面しています。過去の公衆衛生緊急事態から得られた教訓を活かし、こうしたリスクを軽減するための支援が求められています。
ユニセフは、感染者への支援や偏見との闘いを優先し、基本的な社会サービスの継続を推進しています。特に学習の再開や子どもたちの学校への復帰が重要な課題となっています。
写真:難民居住区にある保健センターで、栄養不良の孫を背負いながら、きれいな水で手を洗う女性。(ウガンダ、2024年4月撮影) © UNICEF_UNI568907_Wamala
ユニセフの緊急支援呼びかけ
ユニセフは、エムポックスの拡大を抑制するために、国際社会に1,650万米ドルの緊急支援を求めています。この資金は、リスクコミュニケーションの強化やコミュニティの関与を促進するために使用される予定です。
地域全体におけるエムポックス対策は急務であり、特に子どもたちの保護が最優先されるべきです。ユニセフは、WHOやアフリカ疾病予防管理センターと協力し、各国政府が実施する対応計画を支援しています。
これらの取り組みは、感染拡大を防ぐだけでなく、将来のリスクに備えるためにも重要です。状況は変化し続けており、資金要請額も定期的に更新される見込みです。
- 記事提供元:アフリカ東部・南部でエムポックス集団発生-脆弱な子どもへの深刻な脅威【プレスリリース】|PR TIMES