Starlinkのケニア本格参入で揺らぐアフリカのインターネット業界!ライセンスを拒否する国も!

ケニア市場におけるStarlinkの参入は、従来の通信業界に大きな影響を与えています。地元の通信事業者は、競争環境の変化に対応するため、新たな政策の策定を求めており、衛星インターネットがもたらすリスクと機会について活発な議論が行われています。

本記事では、Starlinkの影響とそれに対する規制の必要性について詳しく分析します。

ケニアで拡大するインターネット需要!

現在、ケニアでのインターネット需要は急増しており、その需要は娯楽を超えて仕事関連にまで広がっています。

ケニアの固定インターネットは、規制当局の最新データによると、37.4%の市場シェアを持つケニア通信業者大手のSafaricomがマーケットを支配しています。この通信大手に次ぐのは、22.6%の市場シェアを持つJTL、18.8%のシェアを持つZuku、そして13%のシェアを持つPoa Internet Kenyaです。

国際電気通信連合(ITU)による研究は、2023年末までにケニアのインターネット接続率が29%に達するとしています。しかし、これは世界平均の65%を下回っている現状で、今後の拡大が期待されています。

Starlinkのケニア参入とその影響!

イーロン・マスク氏のSpaceXが提供するStarlinkは、2023年7月にケニア市場に参入し、短期間で多くの利用者を獲得しました。

Starlinkは今月8月に機器のレンタルプランを導入し、ケニア人が機器を月額1,950ケニアシリング(約2,140円)でレンタルできるようになりました。この料金には、同社の50ギガバイト(GB)データプランの1,300シリングの料金、または無制限プランの6,500ケニアシリング(約7,150円)の月額料金が含まれています。

レンタルオプションを利用しない場合、ハードウェアキットを購入するために45,500ケニアシリング(約50,000円)を支払う必要があります。

ケニアではStarlinkの様な衛星インターネットサービスの需要が急速に増加しており、ケニア通信庁(CA)のデータによれば、2024年3月時点での契約者数は4,808人に達し、前年12月から63.92%増加しました。

この増加により、特に遠隔地でのインターネットアクセスが改善された一方で、従来の通信事業者であるSafaricomやJTLなどとの競争が激化しています。

Starlinkの参入は、既存の通信業者にとって深刻な挑戦となっており、その影響はインフラの利用方法や市場シェアにも波及しています。

地元通信事業者の懸念と規制当局の対応

地元の通信事業者であるSafaricomは、Starlinkの独立した事業運営がモバイルネットワークに悪影響を及ぼすと主張し、ケニア通信庁に対し、衛星サービスプロバイダーに対するライセンス付与を再考するよう求めています。

Safaricomは、衛星プロバイダーが独立したプレイヤーとして活動するのではなく、既存の地元のライセンシーと提携する形でのみ運営を許可することを提案しています。

彼らは、Starlinkのような企業が物理的な存在なしに直接市場に参入することで、政府の規制遵守を困難にし、さらにはネットワークの品質低下や違法な接続の増加につながるリスクがあると警告しています。


Image by Mariakray from Pixabay

アフリカ全土でのStarlinkに対する反応

ケニアを含むアフリカ諸国では、Starlinkの参入に対する反応がさまざまです。

ケニアは、ナイジェリアやルワンダなどとともにStarlinkを承認した数少ない国の一つです。ケニアの他は、ナイジェリア、ルワンダ、モザンビーク、マラウイ、ザンビア、ベナン、エスワティニがStarlinkの参入を承認しています。

一方、多くのアフリカ諸国では規制上の障害が多く、Starlinkを「違法」と分類する国も存在します。例えば、カメルーン、コートジボワール、南アフリカ、セネガル、コンゴ民主共和国などです。

例えば、カメルーンでは、Starlinkの機器が無許可であったため、港での押収が命じられました。また、イーロン・マスク氏の出生地でもある南アフリカでは、地元住民に30%の持分を与えるという要件を満たさなかったため、ライセンスが付与されませんでした。

これらの事例は、Starlinkの参入が引き起こす規制上の課題と、それに対する各国の対応を浮き彫りにしています。

通信セクターの未来と政策見直しの必要性

Starlinkの参入は、ケニアやアフリカ全土の通信セクターにおいて、新たな課題と機会を生み出しています。従来の通信事業者が直面する競争圧力は増大しており、政府や規制当局は、これらの変化に対応するための新たな政策の必要性を認識しています。

特に、衛星ネットワーク運営者がインフラプロバイダーとしてのみ活動するのか、それとも独立したプレイヤーとして市場に参入するのかという問題は、今後の議論の焦点となるでしょう。

さらに、消費者保護やネットワーク品質の維持に向けた規制の強化も求められています。政策が産業の競争力をどのように導くかが、ケニアの通信セクターの未来を決定づける鍵となるでしょう。


アクセルアフリカについて

『日本とアフリカ諸国を繋ぎ、社会課題解決型ビジネスを共創することで、アフリカの持続的成長に貢献する』をビジョンに日本企業のアフリカへのビジネス進出や現地での事業開発をサポートする日系コンサルティング会社です。ケニアに事務所及びコミュニティハウスを持ち、アフリカの主要国をカバーしています。アフリカでの事業展開についてお悩みの方はぜひお気軽にご連絡ください。

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