株式会社ロッテを含むカカオ関連企業4社は、ガーナ共和国でカカオポッド由来バイオ炭を用いた再生農業の評価試験を開始しました。
土壌改良と脱炭素効果の実証を目指し、持続可能なカカオ産業の確立を目指します。
バイオ炭を用いた再生農業試験
株式会社ロッテ、不二製油株式会社、株式会社MCアグリアライアンス、Olam Food Ingredientsの4社は、ガーナ共和国でカカオポッド由来バイオ炭を活用した再生農業の有効性を評価する試験を実施します。
この試験は、カカオ農家が生成するカカオポッドをバイオ炭に変換し、農園に散布することで土壌の質を向上させることを目指しています。
バイオ炭には透水性や保水性、保肥性といった土壌改良効果があり、化学肥料や農薬の使用を減らしつつ、土壌の生物多様性を再生させることが期待されます。
また、アフリカの酸性土壌を中性に近づけ、カカオの生育を助けることが可能です。
試験は2024/25収穫年度から開始され、段階的に進められます。最初のフェーズでは、簡易的な手法でバイオ炭を小規模生産し、その有効性を検証します。
結果次第では、より大規模な試験へと進展させる予定です。
脱炭素効果と持続可能なカカオ産業
カカオポッド由来バイオ炭は、脱炭素効果の面でも注目されています。
通常、カカオ豆収穫後のポッドは廃棄され、微生物によって分解される過程でメタンなどの温室効果ガスが発生しますが、バイオ炭に変換することで、炭素を長期間土壌に固定することが可能です。
このアプローチにより、カーボンインセットと呼ばれるCO2吸収・削減の取り組みがバリューチェーン内で進められ、カカオ産業全体のカーボンフットプリントの削減に寄与します。
これは、持続可能なカカオサプライチェーンの実現に向けた重要なステップとなります。
さらに、今後のフェーズでは、小型バイオ炭製造設備の導入やカカオ農家による自律的な炭化・散布手法の確立も目指しています。
これにより、地域社会全体での脱炭素の取り組みが促進されることが期待されます。
ロッテのサプライチェーン持続可能性への取り組み
ロッテは、カカオ豆の持続可能なサプライチェーンの確立に向けた取り組みを進めています。
同社は、ガーナ共和国から調達するカカオ豆のトレーサビリティを確立し、児童労働の撤廃や森林減少の防止に努めています。また、調達先農家への農法トレーニングを実施し、持続可能な農業の普及を目指しています。
特に、調達するカカオ豆を「ロッテサステナブルカカオ」としてブランド化し、その調達割合を年々拡大しています。
2025年度までにガーナから調達するすべてのカカオ豆、2028年度までに全世界から調達するカカオ豆において、この取り組みを実現する目標を掲げています。
ロッテのこのような取り組みは、チョコレート製品の持続可能性を高めるだけでなく、生産地の社会的・環境的課題の解決にも貢献します。
これにより、カカオ産業に関わるすべての人々の幸福と持続可能な未来が促進されることが期待されます。