2024年9月、アフリカ中西部で発生した壊滅的な洪水被害により、14カ国で400万人以上が影響を受け、深刻な飢餓の危機が広がっています。国連世界食糧計画(WFP)は、被災者に対する食料支援を行いながら、早期警報システムや災害リスクファイナンスの強化に取り組んでいます。これにより、気候変動によるリスクを軽減し、地域社会の回復力を高めることを目指しています。
アフリカ中西部で深刻な洪水と飢餓の危機
アフリカ中西部では、2024年9月の豪雨により14カ国で壊滅的な洪水が発生し、400万人以上が被害を受けました。特に被害を受けた地域は、すでに飢餓危機に直面していたエリアと重なり、飢餓に苦しむ人々の数は5,500万人に達しています。これは5年前の4倍にも及ぶ深刻な状況です。
国連世界食糧計画(WFP)は、この危機に対処するため、現地政府と協力し、約100万人に対して食料と栄養の支援を行っています。
WFP西アフリカ地域局のマーゴット・ファン・デル・フェルデン局長は、「洪水により何千もの家屋が崩壊し、広大な農地が破壊されました。飢餓に直面している人々の命を救うためには、地域全体での緊急対応が必要です」と述べています。
Nigeria. An aerial photograph shows the flooding situation in Maiduguri, Borno State
洪水被害への国連WFPの食料支援と地域復興の取り組み
ナイジェリア北東部のマイドゥグリでは、町の50%が洪水に見舞われましたが、国連WFPは迅速に炊き出しを行い、避難者に栄養価の高い調理済みの食事を提供しています。
また、チャド、リベリア、マリ、ニジェールなどの国々でも、被害が大きい地域に対して食料支援や現金支援が行われており、被災者の生活再建を支援しています。
WFPの活動は、単なる食料提供にとどまらず、被害を受けたコミュニティが将来的に自立できるよう、農業や畜産の復興を支援することにも重点を置いています。これにより、洪水による食料供給の中断が飢餓危機を悪化させるのを防ぐことを目指しています。
WFP staff retrieve boxes of food aid from the UNHAS helicopter in Maiduguri, Borno State, Nigeria on 12 September 2024.
The World Food Programme provides lifesaving food assistance to the people, who have been affected by the floods.
災害リスク緩和とレジリエンス向上へのWFPの予防的措置
国連WFPは、洪水被害への緊急対応と並行して、気候変動に伴う災害リスクを軽減するための予防的措置を強化しています。ニジェールでは、最もリスクの高い20万人に対して、携帯電話やコミュニティラジオを通じた早期警報メッセージが配信され、事前の備えを促しています。
さらに、チャド、ブルキナファソ、モーリタニアなどの国々では、災害リスクファイナンスを活用し、社会保障プログラムとの連携を進めています。
WFPは、国際農業開発基金(IFAD)との協力を通じて、アフリカ統合気候リスク管理プログラム(AICRM)を展開し、農民のレジリエンス強化を図っています。こうした取り組みは、将来的な自然災害の影響を最小限に抑え、地域社会が次の危機に備えるための基盤を築くことを目的としています。
- 記事提供元:国連WFPがアフリカ西部の洪水被害に対応を強化|PR TIMES