JICA、モロッコでユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成を目指す円借款契約調印

JICAは、モロッコの母子保健と栄養サービスの改善、そして医療保障制度の改革を支援するため、円借款契約を調印しました。

本事業は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成を目指し、モロッコ全土での健康福祉の向上を目的としています。世界銀行やアフリカ開発銀行などとの協調融資により、特にインフォーマルセクターの労働者にも医療保障を広げることを目指します。

モロッコのUHC達成に向けた重要な一歩

2024年9月20日、JICAはモロッコ王国との間で「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成に向けた開発政策借款」に関する円借款貸付契約を調印しました。

この事業は、モロッコ全土における母子保健や栄養サービスの提供を拡大し、その質を改善することを目的としています。特に、農村部を含めた全地域で医療アクセスを改善し、格差を縮小することが目指されています。

また、インフォーマルセクターの労働者も公的健康保険に加入できるようにすることで、モロッコ全体でのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に寄与します。

モロッコ政府は、経済と社会の安定を図るため、UHCの実現に向けた制度改革を進めています。今回のJICAの円借款支援により、同国の母子保健や栄養サービスの向上、さらに医療保障制度の改革が進められる見込みです。

この事業はモロッコの「モロッコ保健計画2025」に沿った取り組みであり、2025年1月に完了予定です。モロッコ政府は、財政支援を通じて政策策定・実施支援を強化し、社会的な安定に貢献することを目指しています。

母子保健と栄養サービスの拡大と質の向上

本事業の中心となるのは、母子保健と栄養サービスの拡充と質の向上です。

モロッコでは、特に農村部での医療サービスへのアクセスの不平等が顕著であり、妊産婦死亡率や5歳未満の子供の栄養状態に課題が残っています。都市部に比べ、農村部では医療従事者や施設が不足しているため、保健サービスの質の格差が大きいのが現状です。

JICAは、このような格差を是正し、妊産婦や幼児の健康状態を改善するための取り組みを支援します。

また、母乳育児の促進や適切な栄養指導など、栄養面での支援も重要な焦点となっています。特に慢性的な栄養不足に悩む農村地域では、持続的な栄養改善のための指導や支援が不可欠です。

本事業は、これらのサービスを改善し、モロッコ全土での健康福祉の向上を目指すものです。JICAの支援は、農村部を含む全地域での保健サービス拡充に貢献し、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた大きな一歩となります。


イメージ写真:Unsplashbadr badineが撮影した写真

インフォーマルセクター労働者への医療保障の拡大

モロッコでは、インフォーマルセクター労働者が公的健康保険制度の対象外となっているため、医療保障の欠如が大きな問題となっています。本事業は、これらの労働者が公的健康保険に加入できるよう支援することで、医療保障の拡大を目指します。

モロッコの人口の約30%がインフォーマルセクターに従事しており、これまでの医療保障制度では十分な保護を受けることができていませんでした。

JICAの支援により、インフォーマルセクター労働者が健康保険に加入しやすくなることで、医療費負担の軽減が期待されています。また、フランス開発庁や世界銀行、アフリカ開発銀行との協調融資によって、医療保障制度改革の促進が図られています。

これにより、モロッコ国内全体での健康福祉の改善が期待され、UHC達成への道が開かれるでしょう。本事業は、モロッコ政府と国際機関との連携による持続可能な発展への貢献を目指しています。


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