グリーン株式会社は、モザンビーク共和国において、ゴマの環境保全型生産とバリューチェーンのデジタル化に向けた調査事業を推進します。
本事業は、経済産業省の令和5年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(我が国企業によるインフラ海外展開促進調査)」に採択され、日本へのゴマ供給の強靭化と持続可能な農業の実現を目指します。
ナカラ回廊地域に位置するナンプーラ州を舞台に、IoT技術やバイオ炭を活用した新たな農業モデルの検証が行われます。
ゴマ生産国モザンビークで直面する課題
モザンビーク共和国は、日本にとってゴマ輸入量第4位を誇る重要な供給国です。日本の年間ゴマ消費量約18万トンのうち、同国からの輸入は8.6%を占めています。
しかし、モザンビークにおけるゴマ生産は、伝統的な農法に依存していることから、収量や品質の向上に課題がありました。さらに、気候変動の影響を受けやすく、干ばつや降雨の不安定さが農業生産に悪影響を与えています。
また、ポストハーベストの過程では、アフラトキシン(カビ毒)汚染や農薬残留といった食品安全性の問題が存在し、日本市場への輸出における障壁となっています。これらの課題を解決するためには、収穫後の品質管理を含めた総合的な支援と、農業技術の高度化が急務とされてきました。
環境保全型スマート農業技術の導入
今回グリーン株式会社がモザンビークで推進する事業は、IoTセンシング技術や衛星画像解析にバイオ炭技術を組み合わせた環境保全型スマート農業技術の導入を目的としています。
具体的には、栽培アルゴリズムを活用して収穫適期や病害虫発生リスクを予測し、適切なタイミングで防除・収穫を行う仕組みを構築します。
さらに、バイオ炭による土壌肥沃度の改善により、持続的な生産性向上を図ります。これにより、減農薬による環境負荷の低減、土壌の保全、そして収量・収益性の向上を同時に実現することが期待されています。
伝統的な農法に代わるこうした先端技術の導入は、モザンビーク農業における持続可能性の向上に大きく貢献すると見込まれます。
バリューチェーンのデジタル化と日本への供給強化
加えて本事業では、ゴマの生産履歴や倉庫管理など、ポストハーベストのプロセス全体をデジタル化する取り組みも進められます。
小規模農家による生産情報をデジタル管理することで、収穫物のトレーサビリティを確保し、品質向上とポストハーベスト・ロス(収穫後損失)の削減を目指します。
これにより、日本市場が求める食品安全基準にも対応できる体制が整備され、サプライチェーンの強靭化に直結します。本事業は、モザンビーク北部で長年活動してきた日本植物燃料株式会社とその現地法人ADMと連携し、現地の農家支援とバリューチェーン全体の近代化を推進していきます。
モザンビーク産ゴマの日本向け供給体制が強化されることで、両国にとって持続可能なパートナーシップの構築が期待されます。
- 記事提供元:経済産業省令和5年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(我が国企業によるインフラ海外展開促進調査)」にダブル採択|グリーン株式会社 News