アフリカの中古車購入・販売の透明性と信頼性を高める次世代プラットフォーム「Peach Cars」を運営する株式会社Cordia Directionsが、2025年6月にシリーズAラウンドで約15億円(US$11百万)の資金を調達しました。
本ラウンドにはSuzuki Global Ventures、国際協力銀行(JBIC)、東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)をはじめとした有力投資家が参画し、Peach Carsのビジネスモデルとアフリカ市場における成長可能性に対する高い評価が示されました。
今回の資金調達を通じて、同社はケニア国内のサービス強化と東アフリカ地域への事業拡大を加速し、アフリカにおける中古車売買の信頼インフラを構築することを目指します。
信頼インフラを築く中古車取引の革新モデル
Peach Carsは、アフリカにおける中古車市場の課題に真正面から向き合う次世代プラットフォームです。
現地法人Peach Techを通じて運営されるこのプラットフォームは、単なる中古車マーケットプレースではなく、リアルタイム車両評価、自動車ローン、信頼できる検査・整備サービス、アフターサポートまで、車の所有に関わる一連のプロセスを一括して提供しています。
アフリカでは車の購入が人生における重要なライフイベントでありながら、価格の不透明性、信用情報の欠如、ローンの取得困難といった課題が長年放置されてきました。
Peach Carsはこれらの課題を解決するべく、現地に根ざしたオペレーションとテクノロジーの力を組み合わせ、既にケニア国内で数千人の顧客に利用されています。同社のビジョンは、「信頼をインフラにする」ことであり、信頼できる中古車市場をアフリカにもたらすことを目的としています。
スズキやJBICなど日系主要機関が出資参画
今回のシリーズAラウンドでは、スズキ株式会社のベンチャーキャピタル部門であるSuzuki Global Ventures(SGV)がリード投資家を務めました。SGVはインド市場で約40%のシェアを持つスズキの豊富な新興国市場での経験を背景に、アフリカを次なる成長戦略市場と位置づけています。
SGVのシニアディレクターであるMike Sarchet氏は、Peachの現地に根ざした実行力とカスタマーファーストの姿勢がスズキの価値観と合致しており、アフリカ市場における信頼性の高い中古車市場の構築に重要な役割を果たすと評価しています。
また、日本政府の政策金融機関であるJBICも参画しており、同機関にとっては初のアフリカスタートアップ投資案件となります。
さらに、シードラウンドをリードしたUTEC(東京大学エッジキャピタルパートナーズ)も、スーパープロラタでの追加投資を行い、継続的な支援を明確に示しています。
これらの投資家はいずれも自動車、プラットフォーム、インフラの専門性を有し、Peachの成長に戦略的価値をもたらすパートナーとして注目されています。
資金調達を通じてケニアから東アフリカへ拡大
今回の資金調達によって、Peach Carsは複数の成長戦略を同時に展開する計画です。
まず、ケニア国内でのカバレッジを広げ、ナイロビ以外の地方都市への展開を進めることで、より多くの顧客にサービスを届ける体制を整えます。次に、東アフリカおよびサブサハラ地域への事業展開の基盤を築き、地域全体での信頼インフラとしてのプレゼンスを強化します。
さらに、プラットフォームの最適化とスケールを目的として、エンジニアリングチームの拡充や研究開発投資、車両品質向上のための新たな検査センターの開設も計画されています。
その他、部品調達や物流、自動車ローンの提供といった新サービスの展開も視野に入れており、車の売買に関わるすべての体験を革新する「モビリティ・フルスタック・ソリューション」の提供を目指しています。
創業者の加賀野井氏は、「適切なモデルが適切なタイミングで登場した今こそ、アフリカ市場の持続的成長に向けた信頼スケーラブルな基盤づくりに注力する」と述べています。

















