日本発の草の根NGO「なかよし学園プロジェクト」は、2025年6月にケニア・ナイロビで開催された国際連合ACUNS学術会議に登壇し、南スーダンを中心としたアフリカ地域での教育と平和構築に関する活動を紹介しました。
日本国内で生まれた教育・防災・平和の取り組みが、国際社会でどのように共有され、活用されているのかを示す好例となっています。教育を通じた持続可能な社会づくりを目指す取り組みは、アフリカにおける地域再建や子どもたちの未来に向けて新たな可能性を広げています。

アフリカで展開される教育×平和構築モデル
特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトは、2025年6月にケニア・ナイロビで開催された国際連合ACUNS(Academic Council on the United Nations System)学術会議において、アフリカ地域での教育支援活動と平和構築のモデルについてスピーチを行いました。
南スーダンを中心に活動してきた同団体は、紛争や災害の影響で教育機会を失った子どもたちに対し、「学ぶことが生きる力となる社会をつくる」を理念に、教育・防災・平和・衛生・食の多分野にわたる支援を展開しています。

会議では、火山被災地域における防災学校の設立や、ふりかけご飯を用いた学校給食支援、海洋プラスチックを活用したアルティメットスポーツ教育など、地域に根差した多様な活動が紹介され、国連関係機関(UNHCR、WFP、WHO)との連携も報告されました。
こうしたアプローチは、教育を中心に据えた地域再建の可能性を示すとともに、アフリカにおける持続可能な社会モデルとして国際社会から注目を集めています。

平和をつなぐ「ピースバトン」プロジェクト
なかよし学園が取り組む「ピースバトンプロジェクト」は、日本の中高生が翻訳した平和絵本『はじめてのヒロシマ』を、南スーダンやコンゴ民主共和国の教室で教材として活用する取り組みです。
この活動では、戦争を知らない日本の子どもたちが、戦争を経験してきたアフリカの子どもたちに対し、平和のメッセージを伝えるという、双方向型の学びを実現しています。

ヒロシマやナガサキの歴史を通して、教育が単なる知識の習得ではなく、命と尊厳を守るための手段であることを訴えています。また、日本の子どもたち自身が翻訳や発信に関わることで、自国の歴史と向き合うきっかけとなり、他者に説明する力を養う実践的な平和教育にもなっています。
国境を越えて学び合うこの活動は、教育によって世界をつなぐ新たなモデルとして、ACUNS会議でも大きな注目を集めました。

教室の学びを国際社会へ
今回の登壇では、名古屋市立扇台中学校の生徒たちが作成した「防災カルタ」も紹介されました。
この教材は、日本が長年培ってきた防災の知恵や行動指針を、中学生自身の言葉で詠んだもので、遊びを通じて防災意識を高めることができます。

この「防災カルタ」は、南スーダンや東ティモール、コンゴ民主共和国といった災害や紛争リスクの高い地域において、実践的な防災教育ツールとして活用されています。
教室での活動が国際社会に広がり、子どもたちの創意が命を守る実践に生かされていることは、教育の力を再認識させるものでした。
また、草の根での学びや成果を国際会議の場で発表し、政策に反映させるというアプローチも、今後の国際教育協力における重要な視点といえます。教育を通じて日本とアフリカを結び、地域社会のレジリエンスを高めるこの取り組みは、他国への展開も期待されています。















