ケニアがブロックチェーン・イノベーションの中心に！アフリカのWeb3の未来が動き出す！

ナイロビにてアフリカで最も注目されるテクノロジーイベントの一つ、「ケニア・ブロックチェーン＆暗号資産カンファレンス（KBCC）2025」が6月12日・13日の2日間にわたり開催されました。

アフリカ全土、さらには海外からも参加者が集まり、ケニアがブロックチェーン導入や規制実験、そして分散型技術のイノベーションにおけるリーダーとしての地位を確立しつつあることが改めて示されました。

今年のテーマは「ブロックチェーン・イノベーションと大衆への普及の推進」。会場には規制当局、起業家、開発者、投資家、市民社会の代表など、さまざまな立場の人々が集まり、アフリカにおける責任ある・包摂的で・拡張性のあるWeb3エコシステムの未来について、真剣に語り合う場となりました。

ブロックチェーンの理論から実装へ：アフリカに根付く活用事例

これまで抽象的に語られることが多かったブロックチェーンですが、今年のKBCCは「現実」に根ざした事例が中心でした。

展示ブースやスタートアップショーケースでは、アフリカの金融インフラの未来を感じさせるような製品やサービスが並びました。たとえば：

• ステーブルコインを活用した国際送金
• 貯蓄や信用取引のための分散型金融（DeFi）ソリューション
• ブロックチェーンを活用したデジタルID・コンプライアンス
• 農業、不動産、物流分野における資産のトークン化

「どのブースにも物語があり、その物語は現実の課題を解決しようとしていた」と、ある参加者は語っていました。

会場で注目を集めたセッション

特に印象的だったセッションをいくつかご紹介します。

• Kotani PayのCEO フェリックス・マチャリア氏は「進化するステーブルコイン基盤」について講演し、ステーブルコインがアフリカの越境取引やインフォーマルな金融システムの中核になりつつある現状を解説しました。
• 同社COOのサミュエル・カリウキ氏は「Web3スタートアップのレジリエンス」について率直に語り、不安定ながらもチャンスに満ちた業界での生存戦略をシェアしました。
• 「マーケティングと普及」のパネルでは、信頼の低い環境でユーザーを獲得するためのブランディングや導入戦略について、実践的な議論が展開されました。
• 「Web2からWeb3への転換」のパネルでは、企業が分散型の仕組みをどのように導入すれば良いのか、そのロードマップが具体的に示されました。

また、スタートアップによるライブピッチも盛況で、NomachainとProject Mochaが優れたプロダクト適合性と成長可能性を示し、審査員・観客から高く評価されていました。

一方で、「サイバーセキュリティと信頼性」のパネルでは、Web3エコシステムの脆弱性にも警鐘が鳴らされ、セキュリティインフラや脅威情報の重要性が強調されました。

規制に関する対話も進化

今年の規制に関する議論は、対立的なものではなく、協調的かつ建設的なものでした。政策立案者、法律専門家、スタートアップの創業者が一堂に会し、ケニアをはじめとするアフリカ諸国がどのように「リスクを抑えつつ、イノベーションを促進する規制枠組み」を構築できるかを共に模索しました。

「規制のサンドボックス」や「政策の共創」といった考え方が登場したのも、健全なブロックチェーン発展には対立ではなく対話が必要だという共通理解が生まれてきた証です。

アフリカは“追随”していない。“先導”している！

KBCC 2025で最も印象的だったのは、最新技術そのものではなく、参加者の「目的の一致」でした。2日間の会場全体を通して感じられたのは、「アフリカのWeb3はもはや実験段階ではなく、社会にとって不可欠な存在になっている」という現実です。

アフリカは、グローバルなソリューションをそのまま当てはめているのではなく、文脈に即し、ニーズに基づき、コミュニティ主導でゼロからデザインしているのです。

今後に向けて

このイベントは、単なる技術会議ではありませんでした。アフリカが独自の課題を、独自の視点で、独自の人々の手で解決しようとしているという力強いメッセージだったのです。

私たちアクセルアフリカは、このようなインパクトのあるイノベーションを今後も支援し、資本・機会・包摂の拡大に貢献してまいります。アフリカのデジタル経済における当社の取り組みについては、axcelafrica.comをご覧ください。

著者：Lawrence Maina （Axcel Africa Consuliting アソシエイトコンサルタント）