特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は、野村證券株式会社と二国間クレジット制度(JCM)を活用した新規プロジェクト推進に向け業務協力の覚書を締結しました。
両者は、住民主体の自然再生手法「FMNR(Farmer Managed Natural Regeneration)」を基盤とし、開発途上国の脆弱層への支援、JCMによるカーボンクレジット創出、そして多様なステークホルダーとの共創による支援インパクト拡大を同時に実現することを目指します。
本協力は、気候変動に直面する地域社会の生活改善と環境保全を両立させる「コベネフィット」型の新たなモデルとして注目されています。
住民主体の森林再生「FMNR」でカーボンクレジット創出へ
ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は、野村證券と連携し、二国間クレジット制度(JCM)を活用した新たな森林再生・カーボンクレジット創出プロジェクトに取り組みます。
本協力の中心となるのが、WVが長年にわたりアフリカやアジアで推進してきた「FMNR(Farmer Managed Natural Regeneration:住民主体の自然再生)」アプローチです。
FMNRは、地中に残る樹木の根株や低木の芽を剪定・保護・管理することで、低コストかつ短期間に森林を再生させる手法として国際機関からも高い評価を得ています。
40カ国以上で採用されているこのアプローチは、地域住民が主体となり、土地の回復と生活改善、そしてCO2吸収による気候変動緩和を同時に実現できる点に強みがあります。
特にWVが2006年にエチオピア・フンボ地域で実施したFMNR事業は、京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)として承認・登録された実績を持ち、地域住民が炭素吸収によって得られた収益を共同体開発に再投資するサイクルが構築されました。
この成功事例は、FMNRが単なる森林再生にとどまらず、地域の自立的な開発を促すモデルであることを示しています。
今回の協力は、こうした実績を踏まえ、FMNRをより広範な国々に展開し、持続可能なカーボンクレジット創出を本格化させる取り組みとなります。
JCMによる国際貢献と地域開発の両立を目指す取り組み
WVJと野村證券が今回の業務協力で掲げる柱のひとつが、国が定める温室効果ガス削減目標(NDC)と整合する形でのJCMスキーム活用です。
JCMは日本と途上国が協力して温室効果ガス排出削減プロジェクトを実施し、その成果を両国で共有できる仕組みであり、気候変動対策と国際貢献を同時に実現する制度として注目されています。
本協力では、FMNRによる森林再生を通じたCO2吸収量の認証取得を目指し、カーボンクレジットの創出を計画しています。
また、このカーボンクレジット創出を契機として、地域の生活改善や開発課題の解決といった「コベネフィット」型の価値創出を追求する点も重要な特徴です。
WVJは、気候変動の影響が不平等に表れ、特に脆弱層や子どもたちの命と生活が危険にさらされている現実を指摘しています。
森林再生による環境改善はもちろんのこと、地域住民が主体的に関わるプロセスが生計向上につながり、生活の安定、災害リスクの軽減、そして地域社会の持続可能性向上につながると期待されています。
野村證券はカーボンクレジットや森林ファンドの組成・販売など、サステナビリティ分野で実績を積んできました。
本協力では、こうした金融面の知見とWVJの豊富な国際協力の経験が組み合わされることで、信頼性の高いプロジェクト形成が可能となります。両者の連携は、単なる資金調達にとどまらず、森林再生を軸にした新しい国際協力モデルを形づくるものといえます。
インドネシア、カンボジア、ケニアで調査進行
WVJと野村證券は今後、インドネシア、カンボジア、ケニアなどのJCM対象国において、FMNRを活用した森林再生型カーボンクレジット事業の調査・検討を進めます。
これらの地域は気候変動の影響を強く受けており、森林減少や土地劣化が生活に深刻な影響を及ぼす国も少なくありません。
FMNRは地域住民が主体的に取り組める手法であるため、各国のコミュニティと連携しながら、土地再生と生計向上を両立するモデルづくりが期待されています。
また本協力では、カーボンクレジット事業を通じて多様なステークホルダーとの共創を広げることも重視されています。
企業、投資家、自治体、教育機関、市民社会など、気候変動や貧困、不平等といった課題に関心を持つ国内外の関係者を巻き込み、理解促進や参加拡大を実現する狙いがあります。
WVJは、地域コミュニティとともに課題解決を進めるという組織の方針を基盤に、子どもたちと地球の未来を守る取り組みとして、環境保全と地域開発を結びつけた新たな国際協力モデルの構築を推進していくとしています。
今回の業務協力は、国際NGOの現場経験と金融機関の専門性を結集し、気候変動時代に求められる持続可能なプロジェクト形成の可能性を広げるものです。
森林再生とCO2吸収、地域の生活改善を同時に実現する取り組みは、将来的に他国への横展開やさらなる国際協力の強化につながると見込まれており、日本発の新たな気候貢献モデルとして期待が高まっています。
- 記事提供元:二国間クレジット制度(JCM)によるカーボンクレジット創出に向け、野村證券と業務協力|PR TIMES

















