2025年のアフリカは、政治・安全保障面では緊張が続いた一方で、経済・産業・投資の分野では「次の成長段階」への準備が進んだ一年でした。
世界経済の減速や地政学リスクの高まりという逆風の中にありながらも、アフリカ各国は内需主導型の経済構造や産業高度化を模索し始めています。
本記事はアフリカオンラインコミュニティAI-HUBが12月17日に開催した水曜テーマトーク会『2025年のアフリカまとめ〜政治・経済・日系企業・スタートアップ動向を総整理』のイベントログをお届けします。
政治・安全保障:選挙は実施されたが、民主主義の成熟は途上
2025年は、アフリカ12か国で大統領選挙または総選挙が実施・予定される「選挙イヤー」となりました。
表面的には多くの国で選挙が実施され、政権移行や再選が行われましたが、その中身を見ると、野党候補の排除や投票率の低下、治安部隊によるデモ鎮圧など、民主主義の質に対する懸念が強まった年でもあります。
特に、タンザニアやコートジボワール、カメルーンなどでは、圧倒的得票率による再選が実現した一方で、「競争性の乏しい選挙」との批判も根強く、政治的安定と民主的正統性の間にある緊張関係が浮き彫りになりました。
選挙は制度として定着しつつあるものの、ガバナンスの実効性や包摂性は依然として課題です。
紛争・テロ:長期化する不安定要因と経済への影響
安全保障面では、サヘル地域、スーダン、コンゴ民主共和国、モザンビーク北部など、複数の地域で紛争が継続・激化しました。
これらの紛争は、単なる人道問題にとどまらず、物流遮断、投資停滞、財政負担増大といった形で経済活動にも直接的な影響を及ぼしています。
特にスーダン内戦は、周辺国への避難民流入を通じて地域全体の安定性を損なっており、「一国の内戦が地域リスクへと波及する」典型例となりました。
2025年のアフリカは、経済成長と安全保障が不可分であることを改めて示した一年だったと言えます。
国際外交:アフリカを巡る勢力図の再編
外交面では、2025年はアフリカと主要国との関係が大きく動いた年でした。
米国のAGOA失効は、アフリカ諸国にとって対米輸出モデルの再構築を迫る出来事であり、繊維・農産品など一部産業では中長期的な影響が懸念されています。
一方、中国はFOCAC北京行動計画を通じて、貿易・投資・インフラ協力を制度的に拡充し、ロシアは原子力や資源分野での長期関与を進めています。
こうした動きは、アフリカ諸国が「特定の国に依存しない外交バランス」を取る重要性を高める結果となりました。
G20とアフリカ:グローバル経済ガバナンスへの本格参画
南アフリカが議長国を務めたG20は、アフリカにとって象徴的な意味を持つ会合でした。
アフリカ連合(AU)が正式メンバーとして参加し、債務問題、気候変動、人的資本、技術といった分野でアフリカの優先課題が明確に議題化されました。
特に「公正なエネルギー移行」や「重要鉱物の付加価値化」は、アフリカが単なる資源供給地から、産業バリューチェーンの担い手へと移行する意志を示すものであり、今後の産業政策の方向性を示唆しています。
経済・産業:回復は進むが、構造課題は残存
2025年のアフリカ経済は、実質GDP成長率4%台と比較的堅調でしたが、その内実は「不均一」でした。
東アフリカでは人口増加とインフラ投資を背景に成長が続く一方、資源依存度の高い国では外部環境の影響を強く受けています。
また、インフレ率は数値上は落ち着きを見せたものの、生活コストの高さは依然として市民の実感と乖離しており、社会不安の温床となっています。
短期的なマクロ指標の改善が、必ずしも中長期の安定を意味しない点は、2025年の重要な教訓です。
スタートアップ・投資:「選別の年」としての2025年
スタートアップ市場では、資金調達額が回復しつつある一方で、投資家の目は明らかに厳しくなりました。
フィンテックを中心に、クライメートテック、アグリテック、ヘルステックなど「社会課題と収益性の両立」が求められる分野に資金が集中しています。
2025年は、起業数の拡大よりも、ビジネスモデルの持続性やガバナンスが問われる年であり、「誰でも資金が集まる時代」の終焉を象徴する一年となりました。
日系企業動向:存在感から「実装力」へ
日系企業にとって2025年は、アフリカとの関係性が質的に変化した年でした。
TICAD9を軸に、官民連携、スタートアップ共創、現地生産・雇用創出を重視する動きが加速しています。
特にヘルスケアや農業、物流、デジタル分野では、日本企業の強みである「現場改善」「品質管理」「長期視点」が評価されつつあり、単発案件ではなく継続的な事業展開が目立ちました。
総括:2025年は「アフリカをどう見るか」が問われた年
2025年のアフリカは、楽観と悲観のどちらかで語れる状況ではありませんでした。不安定要因は多く残る一方で、産業・投資・国際関係の面では確実に次の段階へと進み始めています。
重要なのは、「アフリカは一枚岩ではない」という前提に立ち、国・地域・分野を見極めた関与を行うことです。
2025年は、そのための選別眼と共創姿勢が、企業・投資家・政策関係者すべてに問われた一年だったと言えるでしょう。
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