ウガンダでは2016年5月12日(木)、大統領就任式がありました。
ジンバブエ、南スーダン、タンザニアの大統領が出席し、日本やドイツからも要人が出席しました。
12日は臨時で祝日となり、11日(水)夜中から14日の午前中までウガンダ国内で利用されているSNSへの接続が制限されました。
僕は足を運んでいませんが、大統領週就任式が行われた首都のカンパラでは、大渋滞が起こったそうです。(Kampalaに行った同僚の情報)
僕が滞在しているIganagという街では、いつも売れ残っているはずの日本でいう「日経新聞」の位置付けにある「Daliy Monitor」という新聞が、午前中には売り切れていました。
(お店の人に『Daily Monitorある?』と尋ねると『今日のはないよ! 昨日のいる?』と言われました。持ってるわ!)
(“Daily Monitor”の一面を飾るMuseveni大統領。就任式前日の新聞。)
ウガンダの大統領就任式は(僕が知る限り)ネットワーク環境、交通環境に影響を与えるほどのBig Eventなのです。
さて、今期の大統領を務めるのはMuseveni大統領。
30年近くウガンダの大統領を務めている方です。
街のあらゆる人に『誰に投票したの?』と聞くと大抵、『Museveni』と答えます。
彼の得票率は60.7%でした。
若い人もMuseveni大統領を支持しています。
その理由は『彼のお蔭で、ウガンダでも携帯がばんばん使えるようになった。』が多いです。
パソコンの普及率もだんだんと上がってきているようです。
先週尋ねたある行政の偉い人70代でGalaxy04を使いこなしておりました。
以前紹介した記事でも述べましたが、ウガンダの携帯所持率は2014年時点で65%でしたので、今では(成人の携帯所持率は)80%を超えているかもしれません。
しかし、Museveni大統領政権が抱えている問題もあります。
僕が感じた、ウガンダの人が思う一番深刻な問題が『雇用』の問題です。
学校の先生の働く環境
僕には現在専属のドライバーがいます。
それがこの人、Backerさんです。
この人は、Islamic University in Uganda(USS)の卒業生。
大学の学位を持っている人は、ウガンダではとても高学歴です。
しかしBakcerさんの職業は、ドライバーです。
それには様々な理由があるそうです。
大学を卒業したからといって全ての人が良い職業に就けるわけではない
Bakerさんは、IUUでは政治学・経済学・社会学を専攻し、将来は学校の先生として働く目標があったそうです。
しかし、卒業後すぐに先生としての職を見つけることができずに、1.5年間の就職活動をしておりました。
その後、無事首都のKampala(カンパラ)の孤児院を兼ねた学校に就職できたそうです。
激務な教員という職業
(学校は煉瓦造りで、一階建てが基本形です。建物は連なっておらず、1-2教室分の建物がぽつぽつあります。校庭はきれいに草がむしられています。それはいつでも牛が草を食べてくれているからですね。ほとんどの場合電気が通っています。写真の中央に移っている棒は電信柱です。)
その学校では、17-18歳の生徒に対し、歴史・政治学の教鞭をとっていたBakerさんですが、勤務時間が6:30-19:30。ウガンダの学校は、7:00には生徒が登校してきます。そこで先生はそれよりも早い時間に学校に居なければなりません。
さらに、PrepSchoolという予習・復習を希望する生徒が参加できる夜間教室の先生もされていたそうです。それが22:00まで。
勤務日は6日/週。
この激務で、給料は180,000UGX(1UGX=0.03円:2016年5月)だったそうです。
日本でいうと約5,400円です。
学校にて住み込みで働いていたので、朝・昼ごはんは提供されていたみたいですが…。
(家賃は無し。)
Bakerさんは、このとき恋人がいらして、今後の生活の事を考えると当時は不安しかなかったそうです。
そこでの生活は1.5年で幕を閉じたそうです。
国外へ流出する人材
大学卒業生が、金銭・環境面で満足できる職を得ることができない状況にあるとBakerさんは教えてくれました。
彼の大学の同期で先生を志いた方々の多くは、隣国であるケニアやタンザニアに職を求め、移住したそうです。
ケニアやタンザニアの方が金銭・環境面での待遇が良いそうです。
Bakerさんは運よく、お父さんが旅行会社で働いていたこともあり、現在のドライバーとしての職に落ち着くことができました。
しかし、国外に行くお金が無い大卒の方、Bakerさんの様な運よく待遇のそこそこ良い別の職に就く機会がない大卒の方の中には市場で働いている人、vendorと呼ばれる朝通勤時に信号待ちなどで止まった車に新聞を売りに行く売り子さんをしている方もいるそうです。
(日曜日午前中の、市場の写真。ウガンダの山で採れた野菜・果物、湖・湿地で捕れた魚が並んでいます。男女比は3:7くらいです。不思議とこの国も肉と魚を売っているのは男性でした。)
ウガンダの失業率
世銀(http://data.worldbank.org/indicator/SL.UEM.TOTL.ZS)によるとウガンダの失業率2014年では3.8%だそうです。
しかし、人口3,000人の村のお医者さんに尋ねると、その村中の失業率は50%以上はあるとお答えいただきました。
お医者さんの感覚での発言ではありますが、街で歩いている人に『ウガンダの問題は?』『新しい大統領に何を求めるか?』と尋ねると、『失業問題だね』『仕事をもっとつくって欲しい』との答えが返ってきました。
そして、その回答をしたのはいずれも若者でした。
若者の失業率はさらに深刻だとBakerさんは教えてくれました。
政府は若い人の雇用を増やしたがっているそうですが、現場にいる年配の方々がは“自分たちの職を優秀な若い人に奪われる”という恐怖心から優秀(大卒)・若い人を雇いたがらないそうです。
数字では、読めないウガンダの苦しみを感じました。