西アフリカに位置するナイジェリアの北東部で発生しているポリオが、今後チャド湖畔一帯で国境を越えてさらに拡大する可能性があると懸念されています。ポリオ感染の撲滅を目指し、ユニセフはチャド湖畔一帯で 4,100万人の子どもたちを対象にポリオ予防接種を実施する大規模な保健キャンペーンを実施しています。
ポリオが再発生!ナイジェリア北東部から国境を越えて広がる可能性!
ポリオが発生しているナイジェリア北東部では、勃発している紛争から逃れるために、人々がチャド湖畔一帯に移動しています。そのためナイジェリア及び周辺国のチャド、ニジェール、カメルーン、中央アフリカにポリオウィルスが国境を越えて広がる可能性が懸念されています。
ボコ・ハラムによる紛争は260万人もの人々に避難を余儀なくさせ、保健サービスシステムを破壊し、ナイジェリア北東部の400万人の人々を危機と緊急レベルの食糧不足に晒しています。最も影響を受けているナイジェリアの3つの州では、今年だけで40万人の子どもが重度の急性栄養不良になると考えられます。
ユニセフ西部・中部アフリカ地域事務 所代表のマヌエル・フォンテーヌ氏は、「2年間確認されていなかったポリオの再発生は、すでに危機に瀕しているこの地域にとっては深刻な問題です。決してポリオを流行させてはいけないのです。」とコメントしています。
ポリオを撲滅せよ!ユニセフ、大規模な保健キャンペーンを実施!
ユニセフは、ナイジェリア北東部で発生しているポリオを撲滅するために、チャド湖畔一帯で 4,100万人の子どもたちを対象にポリオ予防接種を実施する大規模な保健キャンペーンを実施しています。
チャド湖畔周辺の5カ国でポリオ発生リスクが高い地域においては、5回にわたる組織的なポリオ予防接種キャンペーンを実施しており、約3万9,000人の保健員が活動しています。ユニセフは、ワクチンの調達と、メディアや草の根での啓発活動を通じた地域参加の促進をおこなっています。
このポリオ予防接種キャンペーンの第3回目は、10月15日~18日に実施される予定で、その後11月と12月にも実施が予定されています。予防接種キャンペーンは、ユニセフのほか、世界保健機関(WHO)、ロータリー・インターナショナル、米国疾病管理予防センター、及びビル&メリンダ・ゲイツ財団などの支援を受け、各政府が実施しています。
ユニセフは、この危機に対応するため規模を拡大して、ポリオ予防接種キャンペーンと栄養不良の診断の複合的な支援を展開しています。しかし、その活動は、特にナイジェリアのボルノ州地域での治安上の問題と資金不足により困難に直面しています。ユニセフが緊急支援活動を実施するために必要とする資金1億5,800万米ドルのうち、これまでに確保されているのは5,040万米ドルに留まっています。