日本の伝統的な「富山の置き薬」をアフリカに普及することで、「アフリカの医療環境を本気で変えたい」と奮闘する、NPO法人AfriMedicoが、「置き薬ステーション」を新たに展開する資金調達のためクラウドファンディングを開始しました!そのAfriMedicoのこれまでの取り組みと新プロジェクトの内容をご紹介します!クラウドファンディングのページはこちらから!
「置き薬」でアフリカの医療環境の改善に取り組む、AfriMedicoとは?
AfriMedicoは、“医療を通じて、アフリカと日本をつなぎ、健康と笑顔を届ける”をミッションに活動しているアフリカ医療支援NPO団体です。
アフリカにはインフラの未整備や貧困によって、 十分な医療を受けることができない人々が多く存在します。病気にかかっても病院は徒歩で1時間以上かかり、到着してからも長時間待たされる上、高額な医療費が支払えないので重症化するまで診察を受けに行けない、という環境により、本来ならば助かる可能性のあった命が失われてしまうケースも多々あります。
AfriMedicoは、「そうしたアフリカの医療環境を本気で変えたい。また、医療貢献活動を通じて、アフリカと日本の架け橋をつくっていきたい」という想いから、日本の伝統的な「富山の置き薬」(配置薬)の仕組み をアフリカに広めるべく活動しています。
「子供が死ぬかもしれないの」。代表の町井さんを突き動かす、ニジェールでの原体験
AfriMedico代表理事を務める町井恵理さんは、薬剤師として日本の製薬会社に勤務した後、青年海外協力隊として2年間ニジェールで活動しました。
町井さんがAfriMedicoの活動を始めようと考えたきっかけは、青年海外協力隊としてアフリカのニジェールで感染症問題の解決に取り組んでいた時に出会ったある女性との出会いでした。
(町井さんの体験談)「ニジェールで活動をしていた時、ある村のお母さんが子どもを抱えて来てこう言いました。『子どもが高熱で死ぬかもしれないの。病院に行くので、200円ちょうだい。日本人は、お金持ちでしょ?』皆さんならどうしますか?私はあげませんでした。次に村に行くと、その子どもは亡くなっていました。このことがずっと私の中で引っ掛かっています。お金を渡しておけば助かったのでしょうか?それは本当の解決方法なのでしょうか?現時点で言えることは、こういった事象は国際協力の現場に山積する課題の一部に過ぎないということです。貧困は不衛生な環境を生み、健康な生活を奪います。その状態では就業する機会を得られず、さらなる貧困に陥ってしまうのです。一時的なサポートはもちろん重要ですが、この悪循環を断ち切ることができる、継続して回せる仕組みを作らないといけないと思うようになりました。」(Ready forより)
このニジェールでの経験から、町井さんはアフリカの医療問題の解決にはアフリカに適した持続的な医療モデルの構築が必要であると確信し、AfriMedicoが設立されました。
そして、その“持続的な医療モデル”としてたどり着いたのが、日本の伝統的な「置き薬」でした。
なぜ「置き薬」がそんなにすごいの?
「置き薬」(配置薬)とは家庭や公共の場(学校や企業など)に基本的な薬剤のセットを置いておくサービスです。この仕組みは300年前の江戸時代に「富山の薬売り」として始まって以来、現在まで続いている一般用医薬品販売のビジネスモデルです。
「置き薬」箱の中には、風邪薬、消毒薬、鎮痛剤、下痢止め、軟膏など汎用医薬品が入っています。消費者は、家に置かれた「置き薬」箱から必要なときに必要な量を使用し、代金を後日使用した分だけ支払います。
この仕組みにより、患者さんは症状が軽いうちに必要な医薬品を使用することができるので、置き薬は頼れる「ホームドクター」とも言えます。「置き薬」は国民皆保険制度が整うまで、日本で大きく発展し、最も普及していたころには近畿地方の約80%の家庭に置かれていたとの報告もあるそうです。
AfriMedicoが現在活動しているタンザニアでは、下痢症疾患で命を落とす子どもが毎年15万人以上、マラリアで命を落とす子どもが毎年3万人以上います。「薬」が手に入れば救うことができた命もあるかもしれません。
例えば、AfriMedicoがプロジェクトを進めている村の一つであるBwama村には、薬局や病院はなく、一番近くのクリニックまでは14kmの距離があるそうです。救急車を呼びたくても、人々の1ヶ月分の収入額ほどの費用が掛かるため気軽には呼べません。けれども、もし置き薬が設置されていて、必要な薬を適切に服用し、自分達で自身の健康を支えるセルフメディケーションの考えが普及すれば、救える命がそこにはあります。
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