アフリカからヨーロッパを目指して、命がけで地中海を渡ってくる難民たちが後を絶ちません。そんな人々を救助するため、ヨーロッパの市民団体による捜索・救助船が地中海で活動しています。その船内で国際NGO「国境なき医師団」の一員として活動した小島毬奈さんは、難民移動の過酷な現状を目の当たりにしました。

今回は、アフリカを離れる難民たちの現状、捜索・救助船の活動、そして現場を支援する小島さんが挑戦しているクラウドファンディングについてご紹介します。

リビアから欧州へ!アフリカ難民の実態!

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2016年、北アフリカのリビアから地中海中央ルートを渡りイタリアを目指した難民は約20万人にも及びます。この地中海中央ルートは、渡航中の死亡率が3%と高く、世界で最も危険な移動ルートの1つとされていますが、このルートを利用する難民の数は増加しています。

ユニセフ(国連児童基金)の発表によると、2017年4月時点で、地中海中央ルートを渡りイタリアに到着した難民・移民の数は、2016年同時期の42%増の、3万7,000人近くにのぼり、そのうち13%が子どもです。既に少なくとも849人がこのルートを渡航中に海上で命を落としており、そのうち子どもの数は推定150人以上にのぼるそうです。

また命がけで地中海中央ルートを渡る大人の同伴者のいない、もしくは離ればなれになってしまった子どもの数も増加しており、2017年1月と2月には昨年の40%増にあたる、1,875人がイタリアに到着しました。

遭難した人を救助!市民団体SOSの取り組み!

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2016年2月設立され、イタリアのシチリア島を拠点しているヨーロッパの市民団体「SOS Mediterranee(メディテラネ)」は、捜索・救助船「アクエリアス号」を通じて、地中海においてボートで漂流している人々の人命救助活動を行っています。ローマにある海上救助統活センターの指示、協力のもと、2017年7月現在までに1万人以上の難民を救ってきました。

捜索・救助船「アクエリアス号」は、シチリア島東部のカターニャを起点とし、出港から帰港までの3週間のローテーションで活動します。遭難しているボートに遭遇すると、接近してのち小型ボートを下ろし、救助に向かいます。救助された人々はは、治療ケアなどを受けイタリアまで送り届けられます。

SOSの活動には賛同者は多く、「働きたい人」の長いウェイティングリストがあるそうです。スタッフは、同じヨーロッパで起こっている悲劇をなんとかしたいという熱意だけで参加しており、技術やモチベーションは非常に高いのが特徴です。

実際に船に乗船し、活動した小島さん!

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国際NGO「国境なき医師団」に所属する日本人助産師の小島毬奈さんは、2016年11月から2017年1月まで捜索・救助船「アクエリアス号」に乗船し、主に女性と子どものケアに当たりました。

妊婦や生後数日の新生児も多くいましたが、そこで彼女たちから聞く話は、性的被害からの妊娠、家族を目の前で殺された、学校にも行ったことがないなど想像を絶するものばかりだったそうです。

また騙されてリビアに仕事を求めてやってきた末に、人身売買の闇に落ちてしまった人たち、人がぎゅうぎゅうに乗り込んだ沈没寸前の粗末なボートで、ガソリンが漏れて化学やけどを負っている人、すでにボートの底で押しつぶされて亡くなっている人もたくさん見たそうです。

クラウドファンディングに挑戦するワケ!

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小島は2017年1月に一時帰国しましたが、「あの人たちの助けになりたい」「自分にできることはなんだろうか?」という想いは強くなる一方でした。一方で、人事の都合やビザの都合でまだ再派遣は叶っていません。

そこでもっと多くの人に、地中海の現状を知ってもらいたい。難民に馴染みのない、島国日本人にもっと世界を見て考えるきっかけになったらとの想いから、同じ船で共同任務に当たっていたSOS Mediterraneeへの寄付金を集めるため、クラウドファンディングに挑戦しています。

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SOSは小さい団体ゆえ、資金調達には苦労しています。1000人乗せることができる船を運行するには、1日11,000ユーロ(約120万円)が必要です。それを、国境なき医師団とSOSで折半して払っています。また、レスキュー隊の給料として1日36ユーロ(約4,000円)が必要になっています。

救助船が働かなくていい日が来ることを願って

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小島さんは問いかけます。「いつ産まれてもおかしくない、身重の体で命をかけた旅に出ますか?」「産まれて間もない赤ちゃんを連れて一人で未知の行き先を目指しますか?」「レイプされるかもしれないと分かっていてもその旅に出ますか?」と。

小島さんは、実際に地中海でその様なたくさんの女性に出会いました。日々、途切れることなくたどり着く難民たち。終わりの見えない紛争、爆撃から逃れるため、人間らしい生活をするために、子どものために、希望を求めて苦渋の決断をして海を渡って逃げてくる人たちがいます。

イタリアの港に着き下船していく人々の背中を見ながら「いつの日か、この救助船が働かなくていい日が来ますように」と祈る想いだったと言います。

SOSの活動、小島さんの想いを応援したいと思った方は、一人でも多くの命を救うために、ぜひクラウドファンディングへのご協力をお願いします。


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凡
Africa Quest.com 編集長。1987年うどん県生まれ。証券会社退社後、青年海外協力隊としてケニアに赴任。在任中に雇用創出をビジョンにソーシャルベンチャーを共同創業し、約2年にわたり運営を行う。現在は、Africa Quest.comの運営や中小企業のアフリカ進出サポート、アフリカビジネスラボのモデレーターなど、アフリカをテーマに幅広く活動している。