国際協力機構(JICA)は1月15日、タンザニア連合共和国政府との間で「ケニア-タンザニア連系送電線事業」向けに最高118億4,700万円の円借款貸付契約に調印したと発表しました。タンザニアは経済発展に伴い電力需要が拡大しており、電力不足が社会経済活動の弊害となっています。本事業は、タンザニア国内の電力系統の整備・安定化に貢献すると見られています。
2000年以降、タンザニアは年率約6%の経済成長を遂げており、今後も約7%の成長が見込まれています。経済成長に伴い電力需要も年率10%前後のペースで増加しており、2035年には現在の8倍となる約7,590MWの電力需要が発生すると予想されています。現在、タンザニアには1,376MWの発電設備がありますが、老朽化や送配電ロスなどが原因で、2014年のピーク需要934MWも満たせていない状況です。
本事業を通じて、ケニア南部とタンザニア中部を結ぶ全長507.5キロメートルの送電線を建設、関連変電所の整備を行うことで、タンザニア国内の安定的な電力供給だけでなく東部アフリカ地域の電力融通の促進・供給信頼度の向上を図り、経済活性化・地域活性化を促すことができます。
タンザニアの電力分野は2015年に東芝が地熱発電に参入を表明したり、国営企業であるタンザニア電力供給会社(TANESCO)が49%の株式公開を発表するなど民間投資が非常に活発になってきている注目の市場です。JICAは、本事業以外にも円借款「イリンガ-シニャンガ基幹送電線強化事業」による送電線の整備や、技術協力プロジェクト「効率的な送配電系統のための能力開発プロジェクト」による送配電系統保守の計画・運営・維持管理の能力強化も実施しています。
また経済成長に伴う電力不足は、アフリカ全体においても重要な課題となっています。その対策の1つとして、安価で安定的な電力を各地域内で融通する「パワープール」と呼ばれる取り組みが行われています。東アフリカにおいては、豊富な水力を有するエチオピアから、電力需要の高いケニアやタンザニアへの融通計画が策定されています。
引用元:JICA ニュースリリースより
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