西アフリカに位置するシエラレオネ共和国では、予期せぬ若年妊娠や性暴力により、10代の女の子が教育機会を失う社会問題が存在しています。
NPO法人アラジはその問題の根本的解決を目指し、中高生男子に向けた性教育プログラムを2021年に開始しました。2022年は本活動を拡大し、100校を対象に1万人の学生に届けます。
シエラレオネで活動するアラジ!
西アフリカに位置し、かつては「世界一寿命の短い国」としても知られていた国、シエラレオネ共和国では、1991年に政府と反政府軍(革命統一戦線:RUF)との間でダイヤモンド資源を巡る複雑な内戦が勃発し、2002年に終結しました。
NPO法人アラジはシエラレオネにおいて、日本で唯一のシエラレオネ専門NGOとして、これまで約8年間にわたり、経済的困難を抱える最貧困家庭の子どもたち、延べ1,100名に教育と就労の機会を届けてきました。
減らない若年妊娠と性暴力!
シエラレオネでは手に入らない避妊具や、性教育の知識不足、性暴力などを原因とした望まれない妊娠により、約2割の10代の女の子が、初等教育の機会や、その後の夢への進路を失っており、シエラレオネにおける男女の教育格差は大きな社会問題となっています。
10代の女の子の死亡原因の1位は「出産」であり、10万人当たりの妊産婦死亡は1,120人(世界銀行,2017)、10代の出産が妊産婦死亡に繋がる割合は5割も高まります。
また、「女の子が妊娠したら、勉強を続けてはならない」という大きな人権侵害でもある禁止令が2020年まで施行されていたことにより、復学ができるようになった現在でも、女の子たちは社会的スティグマ(差別やいじめの対象)とされ、もう一度学校で学ぶことに対し、様々なトラウマを抱えています。
男子中高生への性教育プログラムで根本解決を!
NPO法人アラジは、2021年よりシエラレオネ共和国ケネマ県において、10代のシングルマザーが再び学校で学ぶための奨学金給付支援を実施してきました。
NPO法人アラジで実施する奨学金給付支援は、女の子達が再び学校に通うことができるための支援です。
ただ一方で、根本的な解決策として、望まれない若年妊娠そのものを減らす事を目的とし、男性側が正しい性知識のもと、女性と接することができる意識改革の起点として、性教育プログラム「ハズバンドスクール」を2021年に開校しました。
「女性にとってよい夫となるには」を考え目指すこのプログラム実施にあたり、事前のアンケートにより知識と意識のレベルを把握した上で、女性の身体の仕組み、避妊具の正しい使用方法、女性の尊厳・権利、10の性的同意パターン、性加害を起こした場合の具体的な刑罰、性暴力を受けた場合の適切な連絡機関や、治療・アフターケア・訴訟のサイクル等について、専用のテキストを元に授業を行っています。
男女平等な社会をつくるための第一歩を!
NPO法人アラジでは、この活動を拡大し、2022年にケネマ県にある中学校、高校の100校、総勢約1万人の男子学生に対する「ハズバンドスクール」を開校します。
これは1万人はケネマ県の中高生男子の約34%に相当します。
日本では、1985年に男女雇用機会均等法が施行されて以降、男女の雇用における均等、待遇が確保される社会に移り変わってきた。また、現在では多様性に対する社会的理解が進み、ジェンダーを含むあらゆる差別が社会的批判を受ける世の中となりつつあります
一方、後発途上国であるシエラレオネでは、世の中の社会変容から取り残されている国の一つであり、共通言語、共通認識としてのSDGsが世界中で語られる現在においても、私たちが支援を実施するシエラレオネの最貧困家庭の子ども達は、その存在を知りません。
日本が経験をしてきたように、あらゆる場面で男女平等であるシエラレオネ社会を築いていくためには、これからの長い道のりが必要です。
NPO法人アラジでは、最貧困に陥る子ども達と家庭に対する支援を軸とした2050年までの活動目標を掲げて行動しています。
同時に、シエラレオネにおいて、女性の尊厳が守られ、女性の社会進出が一般化される誰にとっても等しくチャンスを手にできる豊かな社会を築くための第一歩目として、シエラレオネの未来を担う中高生男子に対して「ハズバンドスクール」を届けていく予定です。
- 記事提供元:1万人の男子中高生へ「性教育プログラム」を開始。西アフリカ・シエラレオネの若年妊娠・性暴力の予防に貢献。|PR TIMES