肌の色で判断されるステレオタイプな社会で生きる!〜南アフリカ ヨハネスの街角から③〜

インタビュー企画『南アフリカ・ヨハネスブルグの街角から』!アパルトヘイトやネルソン・マンデラで知られる南アフリカ。多様な人種が住んでいることから、「レインボー国家」と言われています。南アフリカの大都市、ヨハネスブルグで出会った人々に聞いてみました。

Q. あなたは南アフリカで差別にあったことがありますか?

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  • 街行く人3:MERUIN MIRWAN MOTAN
  • 出会った場所:ヨハネスブルグ、Melville

おお、差別ね。もちろん。

自分はこれまでいつも『その他』に分類されてきた。

どういうことかというと、自分の生まれは南アフリカのケープタウンなんだけど、祖父母の代まで遡ると、フランス人、トルコ人、マレー人、インド人の血が混ざっているんだ。

子どものころは、アパルトヘイトがあったから、「白人専用」のところに入ることができなかった。(※1)

(※1:白人との混血の人は「カラード」として、白人とも黒人とも区別されていた)

今はアパルトヘイトが終わったんだけど、人種間の分断やステレオタイプはまだ生きていると感じるよ。

例えば、就職活動をするとき。僕は見た目が白いけど、名前はインド・ムスリム系なんだ。だから、履歴書上では、肌の色が黒い人をイメージされる。書類を見た上で面接をすると、面接官が驚くんだ。何度か肌の色が白すぎる、といって断られたことがある。この仕事をするには、もっと肌の色が濃くないと、ってね。

特にインド人のコミュニティでは、肌の色がとても重要だと感じるよ。肌の色で判断されることがものすごく多い。

なんか、おかしいだろ?子どもの頃は、白人じゃないから差別され、今では名前に比べて肌の黒さが十分じゃない、と言われるんだ。

自分が一番心地よいコミュニティは、ムスリム(※2)のコミュニティかな。ここでは信仰で繋がっていて、人種は関係ないからね。

(※2:イスラム教徒のこと)

白人でも黒人でもない混血に人々が抱える課題!(編集後記)

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おしゃれなレストランやバーが建ち並ぶメルヴィルのカフェで、水たばこをたしなんでいたグループにお話を伺いました。フランスに生まれ南アフリカに移住したモロッコ系の人、ムスリムの男性と結婚しイスラム教に改宗した白人の女性などが集まっていました。いつも食事や水たばこを一緒に楽しんでいるそうです。このカフェのオーナーがムスリムということもあり、常連さんにはイスラム教徒の方が多いようです。

南アフリカには、植民地時代の宗主国にルーツをもつオランダ系の白人(現地後と混ざってできたアフリカーンス語を話す人が多い)やイギリス系の白人はもちろん、共通の宗主国を持つインドや東南アジアからやってきた人も多くいます。またレバノン系の人など、アラブ諸国にルーツを持つ人も住んでいます。いわゆる”混血”の人が多いのです。

アパルトヘイト時代も、”人種”は白人、黒人、カラード(混血)とアジア人(主にインド系やマレー系の人々)の4つに分けられていましたが、多くの場所は「White(=白人専用)」と「Non-white(=白人以外)」に分けられていたこともあり、彼のような混血の人も白人とは区別されていました。

現在はこうした区別はなくなったものの、長年にわたり居住地が分断されていたため、今でもムスリムが多い地区、インド人が多い地区などが存在します。コミュニティレベルでは、当時の人種同士の繋がりが未だ生きているところもあるようです。

南アフリカと言えば、人種の話になることが多いのですが、これだけ多くの人種がいるため、自然と宗教も多様になります。キリスト教徒が圧倒的多数ですが、プロテスタント、カトリックをはじめとして様々な宗派の人がいます。インド系アジア系の人々の間ではヒンドゥー教やイスラム教も信仰されており、またユダヤ系の人も一定数います。田舎の方では、土着の宗教も信仰されています。

今回話していただいた男性は、見た目だけみると「白人の南アフリカ人」。しかし、話してみると複雑な人生を背負っていました。

人間一人一人が、それぞれのストーリーをもって生きています。もっとたくさんの人の話を聞いてみたくなりますね。

シリーズ企画

あなたは差別を受けたことがありますか?〜南アフリカ ヨハネスブルグの街角から〜

アパルトヘイト時代の黒人専用居住地、ソウェトから伝えたいこと!〜南アフリカ ヨハネスの街角から②〜

 

チャリツモ

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