進出先パートナーはスタートアップを選べ!?

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写真:ケニアの現状を解説する直江所長。

– ケニアではスタートアップが一部のハイテク業界だけではなく、市場や経済全体に重要な影響を与えている。

先ほどお話したUberの事例(前編記事参照)に絡めて紹介するなら、大手スタートアップとして有名なTwiga foods(ケニアで注目されている野菜卸売り事業を行うスタートアップ)ではIBMと協力してブロックチェーン技術を展開し、路上商人の仕入れ実績、販売実績を基にしてお金を貸す仕組みを実証検証しました。

検証結果では確か、4日で1%、8日で2%ほどで貸し出しています。もちろん金利ビジネスとしては儲からないのですが、商人達の仕入れ量は30%ほど上がるため、本業の方で規模が拡大します。そうすれば農家も生産を拡大する。こうした連関により、援助ではなくビジネスで社会課題を解決するというのが既に実例としてあるというのがケニアの現状であり、トレンドです。

日本企業と絡めて考えるならば、伝統的なビジネスはマーケットが小さいためプレイヤ―も限定されてしまい、ほぼすべての産業に決まったパートナーがいる状況です。そのため新しく参入しようとする日本企業にとってはパートナー探しが難しくなっています。

JETROとしても日本企業にFMCG(日用消費財)関連企業や財閥系企業を紹介したりしていますが、中々上手くいかなかった。今後も引き続き同アプローチをフォローしていくものの、新たなアプローチが求められており、そこでスタートアップに注目しました。

調査会社(Partech Ventures)の報告によれば、2017年に南アで1億7,000万ドル、ケニアで1億4,000万ドル、ナイジェリアで1億1,000万ドルがスタートアップに投資されています。その他、アフリカへのスタートアップ投資を集計しても、8,000~9,000万ドル程度。

それだけ3カ国に集中しているということであり、これらの国のスタートアップ市場の盛り上がりを表す数字になっています。成功しているスタートアップはこれまで大手企業が取り込めなかった市場に上手くビジネスを展開できているため、日本企業が連携することでその市場にアクセスしたり、これまで見えなかった市場にアプロ―チできるという利点があります。

– 日系企業が現地スタートアップと積極的に連携するというのは非常に興味深いトレンドです。その流れが生まれたのはいつ頃からでしょうか。

ここ2年ほど、最近ですね。日本の商社などにとってはシード段階で資金を投入するのは難しいので、大きくなる過程が必要になります。仮に総資本が数百万円くらいのスタートアップに新たな資本を投入すると独占という形になってしまい、責任を全て負う必要も出てくるため、協力や提携に重点をおいた場合、そうした関わり方は望む商社はあまりないでしょう。

スタートアップの規模がある程度大きくなる必要があります。五年くらいのスパンをかけて成長したM-kopa(ソーラーパネルと周辺機器のレンタルと販売を行い、多くのケニア人に電気製品の使用を可能した)に出資を決めたのが三井物産であり、Sendy(ドライバーと顧客を繋ぎ、個人から法人レベルまでの配送プラットフォームを提供)に子会社を通じて出資した豊田通商です。

この流れは欧州ファンドが先駆けていましたが、今では日本ファンドが活発にスタートアップの発掘に取り掛かっている状況です。商社以外ではリープフロッグベンチャーズがシード段階から関わり始めていて、インパクトを残し始めています。

– 日系商社、日系ベンチャーキャピタル等がアフリカのスタートアップ支援に貢献している。

商社側で現在行っていることはCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)で、事業シナジーが生まれるようなところに投資をしていきたいということですね。他にはSBIレミットが海外送金を手掛けるBitpesaと提携、出資することを発表しており、新たなビジネス・サービスを自社に取り込もうとする動きが現れています。

– 丸紅がWASSHA(タンザニア未電化地域で電気の量り売りサービス等を提供する日系スタートアップ)に出資した事例など、今後個人起業家のアフリカ進出が進むことで日系企業と日系スタートアップの連携にも期待してきたいですね。本日はありがとうございました。

ありがとうございました。

前編はこちら>> ポストTICAD6、アフリカ進出における日本企業の現在地点

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長谷川 将士

長谷川 将士

株式会社グラスルーツウォーカーズ代表取締役CEO
二十歳からケニアでフィールドワークを続け、大学院時代に行った調査が共著論文として書籍に掲載されています。専門はアフリカ政治経済学(特に紛争及び市民暴力)。最近は中間層論と経済成長論に関心有り。日本のアフリカ報道と学術研究やフィールドワークから見えるアフリカ像が大きく異なることに疑問を抱き、エビデンスに基づいた現場発信型メディアを立ち上げるべく、ケニアで奮闘しています。弊社ジャーナルサイトは平日、正午に更新していますのでご一読ください。