ケニアは世界第3位の切り花の輸出国である。花き産業はケニアのGDPの1.06%を占め、約10万人の雇用を提供している。今回は、花き産業界で注目されている環境モニタリング装置を提供するヴォルタレントエンジニア社にインタビューを実施。彼らのビジョンとビジネスについて聞いた。

ケニアは切り花の輸出大国!

ケニアは世界第3位の切り花の輸出国で、ヨーロッパ市場では実に総販売量の35%を占める。特にオランダ、ドイツ、イギリス、スイス、そしてフランスで流通量が多く、アフリカで生産された美しい花々が海を越えて人々を引き付けている。

最近のデータではオランダのオークションで取り扱われる半分がケニア産の花であったり、近年では日本でもケニア産のバラが手に入るなど、60ヵ国に輸出されている一大産業だ。花き産業はケニアのGDPの1.06%を占め、約10万人の雇用を提供している。

しかし、ケニアでは他のアフリカ諸国と同じように季節の変動に伴う水不足に悩まされており、産業が拡大するに伴って適切な水管理の重要性が強調されるようになってきた。花き農家は水の稀少化に直面しており、地下水の活用などで生産を維持しようとする例もある。

だが、酸性度の異なる水や土壌で栽培を行うと生産に悪影響が出るため、次第にデータを用いた生産管理を行う必要性が指摘されるようになった。

環境モニタリング装置が花き産業を変える!?

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写真:実際に使用されている環境モニタリング装置。ソーラー発電によりデータ収集の自動化が可能になる。

そこで注目されているのが環境モニタリング装置だ。同装置は水の成分、農場の温度、湿度、光量といった生産を左右するデータを常に計測し、生産の効率化と最大化に役立てることができる。

また、継続的にデータを記録することで生産量の予測が容易となり、計画的な経営を行うことで廃棄される花きを減らすことにも繋がるとされている。

IoT技術を組み込んだ環境モニタリング装置を提供するヴォルタレントエンジニア社のピーター・ムビリア氏は装置の必要性を次のように説明する。

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同社の環境モニタリング装置を手に取るムビラ氏。

「この装置はかさばらず、目立つこともありません。太陽光発電を行うため充電の必要もなく、定期的なデータ採集を自動化できます。クラウドに集められたデータはほぼリアルタイムで確認することができ、作物の手入れに根拠をもたせることができるのです」

同社の環境モニタリング装置を手に取るムビラ氏。

ムビラ氏は花き産業が高収益で廃棄になりにくい、ケニアを支える重要な産業であることを強調する。年間を通じて栽培が可能で、在庫を抱える心配も他の作物と比べると少なく、同装置が普及することで収量増加と廃棄量の減少を実現させたい考えだ。

最も売れているモデルで1万5千シリング(約1万7千円)と花き栽培を行う農家にとっては手の届く価格で、同装置を取り付けた農家では廃棄量を平均20%減少させることができるという。装置をビニールハウスに取り付けるケースも増え始めており、最近ではジャマイカへの輸出も開始した。

また、ケニア農業研究所が他作物への応用が可能か実験を進めており、装置の可能性を広げる動きは続いている。研究所からのお墨付きがもらえれば、単に環境モニタリング装置の販売という枠に留まらず、産業発展そのものに貢献できる。

「ケニア技術大学を卒業後、IBMのインターンとしてハードウェア開発を行っていました。当時私が開発した水位計測器は38の農場に設置されたことがあり、現在製造している環境モニタリング装置もそこで学んだIOTのノウハウを詰め込んだものです。IOT技術がより簡単に、信頼される技術としてケニアに普及されるように取り組んでいくつもりです。」

・筆者:Rahab Garakuru
・翻訳:長谷川 将士

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長谷川 将士

長谷川 将士

株式会社グラスルーツウォーカーズ代表取締役CEO
二十歳からケニアでフィールドワークを続け、大学院時代に行った調査が共著論文として書籍に掲載されています。専門はアフリカ政治経済学(特に紛争及び市民暴力)。最近は中間層論と経済成長論に関心有り。日本のアフリカ報道と学術研究やフィールドワークから見えるアフリカ像が大きく異なることに疑問を抱き、エビデンスに基づいた現場発信型メディアを立ち上げるべく、ケニアで奮闘しています。弊社ジャーナルサイトは平日、正午に更新していますのでご一読ください。