ソマリアで女の子に集団施術も!国際NGOプラン、コロナ禍で女性性器切除の急増に警鐘!

国際NGOプラン・インターナショナルは、国連が制定した「女性性器切除(FGM)の根絶のための国際デー」にあわせて、世界中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大に歯止めがかからない中で、女性性器切除(FGM: Female Genital Mutilation)の施術が増加していることに強い危機感を示しました。

また持続可能な開発目標(SDGs)で目標とされている2030年までの根絶に向けたさらなる行動が急務であることを訴えています。

コロナ禍で急増している女性性器切除

女性性器の一部を切り取るFGMの慣習は、アフリカ、中東、アジアの一部など世界30カ国に根強く残っており、少なくとも2億人の女の子や女性たちがFGMを経験していると言われています。

FGMは、女の子と女性の権利を侵害するものであり、ジェンダー不平等、女の子や女性への差別を助長します。

また、FGMはトレーニングを受けた医療従事者による施術であっても安全性を担保することはできず、女の子や女性に重度の出血や感染症、精神的外傷、慢性的な合併症(排尿障害、性交痛、難産)などの短期的・長期的な健康被害をもたらします。

FGMの施術件数は、人道危機や緊急事態下で増加する傾向にあります。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにおいても、学校閉鎖や経済不安、保健・医療サービスの不備などにより、多くの時間を自宅で過ごすことを余儀なくされている世界中の女の子たちが、FGMを含むジェンダーに基づく暴力を受けるリスクにさらされています。

同時に、ロックダウンによる制約のため、FGMを根絶させるための意識啓発活動といった多くのプログラムが中断、あるいは縮小を強いられています。

これまでは2030年までに6800万人の女の子がFGMのリスクにさらされることが危惧されていましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、さらに200万人の女の子がFGMの対象となる可能性があると言われています。

コロナ禍のソマリアで女の子に集団施術

ユニセフの報告によるとFGMの実施率が世界一高いとされているソマリアでは、5歳から11歳までの女の子の98%がFGMの施術を受けています。

ソマリアでは、FGMが合法とされており、慣習として社会に深く根付いています。親たちにとって、FGMは家族の名誉の保持と結婚のための前提条件として必須であると考えられています。

新型ウイルスの影響で、ソマリアではFGMの施術件数が急増し、これまで以上に多くの女の子が危険にさらされています。

プランの活動地では、20人ほどの女の子を一堂に集め、施術を受けさせるための集会が各所で開催されていることが判明しました。

プランがソマリアで実施した調査によると、活動地の61%の人々が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによりFGMの実施件数が増加したと思っており、42%が、休校が原因で女の子がFGMを受けるリスクが高まっているとの見解を示しました。

他の活動国同様にソマリアにおいても、ロックダウン(都市封鎖)による行動制限が原因で、意識啓発活動の規模縮小を余儀なくされていることもFGM増加の一因となっています

活動を継続することの重要性

コロナ禍においては、人道支援団体や各国政府、市民社会の意識の中で、FGM根絶に向けた活動の優先順位に低下が見られています。

国連は2030年までにFGMを根絶することを目標としつつも、支援に必要な資金の11%しかこの活動に充てられていないことに懸念を示し、目標を達成するためには、FGMの根絶とその後遺症に苦しむ女の子や女性たちをケアするための活動に、さらなる資金を投入し優先的に取り組む必要があると訴えています。

現在、ソマリアでは、この有害な慣習が女の子に及ぼす深刻な健康被害について、また、FGMが宗教的義務ではないことを明確にするために、ラジオでメッセージを流しコミュニティに廃止を呼びかけています。

国際社会において、これまで積み上げてきた活動を後戻りさせないためにも、歩みを止めることなく活動を継続させることは非常に重要です。

プランは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの中においても、国連機関や他のパートナー団体と連携して、女の子をFGMから守るための活動を展開していきます。


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