ユニセフ(国連児童基金)の推計によると、東部・南部アフリカでは現在、全就学年齢の子どもたちの40%が学校に通っていません。
これには、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による学校閉鎖と、パンデミック以前からの非就学の子どもの数が影響しています。
東部・南部アフリカでは、最近のCOVID-19の急増により、年度の途中で学校が再び閉鎖されるケースが見られています。
学校の閉鎖、あるいは、学校が再開しても戻ってこられなかったために、3,200万人以上の子どもたちが学校に通っていないと推定されています。
加えて、パンデミック以前から学校に通っていなかった子どもたちが3,700万人いるとみられます。
学齢期の子ども6,900万人が学校通えず!
写真:アムダット州の女子小学校で、マスクを着用して授業を受ける子どもたち。(ウガンダ、2021年2月撮影) © UNICEF_UN0421378_Abdul
アフリカでCOVID-19の新たな波が押し寄せる中、ボツワナ、ナミビア、ザンビア、ウガンダでは全国的に学校が再開されましたが、ジンバブエでは冬休みが延長されて学校閉鎖が続いており、ルワンダとモザンビークではCOVID-19の影響が最も甚大ないくつかの地域で一部学校閉鎖が行われました。
南アフリカ共和国ではCOVID-19によって冬休みが延長されていましたが、今週学校が始まります。
ユニセフの推計によると、現在、東部・南部アフリカでは約6,900万人の子どもたちが学校に通っていません。
COVID-19による学校閉鎖に加え、親が学費や交通費を払えないこと、貧困によって児童労働を余儀なくされていること、結婚を迫られたり生理用品を買えないといった理由で女の子が中退していること、障がいのある子どもたちが学校に通えないことなど、さまざまな要因が影響しています。
貧困の連鎖を断ち切るために必要な学校!
写真:自宅でパソコンを使いオンライン学習に取り組む18歳のイベットさん。(ルワンダ、2020年5月撮影) © UNICEF_UNI343975_Saleh
アフリカの一部の子どもたちはオンライン学習を利用していますが、何百万人もの子どもたちがインターネットやコンピュータ、携帯電話をほとんどあるいは全く利用できません。
また、学校に通うことで、貧困の連鎖を断ち切るために必要な基本的な学習ができるだけでなく、早婚、早すぎる妊娠、家庭や路上での虐待といった有害なことから身を守られ、毎日栄養のある給食を食べることもできます。
学校の再開が進むも課題が!?
写真:国内避難民キャンプにある小学校で、授業を受ける子どもたち。(モザンビーク、2021年4月撮影) © UNICEF_UN0440065_Bisol
ユニセフは、COVID-19の感染状況をリアルタイムで監視し、地域の状況に沿った適切な方法で対応する戦略をとるために密接に連携する教育省と保健省の取り組みを支援しています。
パンデミック開始後に収集されたデータによると、子どもや学校がパンデミックの主な原因ではないことが示されています。
これまでのところ、COVID-19による子どもたちへの健康リスクは低いままです。東部・南部アフリカで初めて学校が閉鎖されてから1年以上の間、ユニセフとパートナーは、子どもや教師、家族に対するリスクを軽減する方法についての多くの知識を蓄積してきました。
現在、東部・南部アフリカの21カ国のうち12カ国で学校が完全に再開し、3カ国では部分的に再開しています。
ユニセフは、実績のある安全措置を施しながら学校を再開し、教師へのワクチン接種を優先した保健省と教育省の決断を高く評価しています。
写真:唯一自宅に一台ある携帯電話を使って、勉強に取り組む11歳のサムエルくん(右)とジャネットさん(左)兄妹。(ケニア、2020年7月撮影) © UNICEF_UNI362244_Everett
パンデミックは、既に余裕がなかった教育資金の状況をさらに悪化させています。東部・南部アフリカ地域の21カ国のうち、COVID-19危機以前に立てられた「万人のための教育」の目標に沿って、予算の20%以上を教育に費やしている政府はわずか5カ国しかありませんでした。
各国政府は、学校を開き続けるための条件を満たし、マスクを確実に入手できるようにし、換気を十分に行い、机と椅子を使ってソーシャル・ディスタンスを保ち、水と衛生設備を整え、さらに学習損失の補習を支援し、将来の危機に耐えうるより良いシステムを構築するために、さらなる投資を行うための支援を早急に必要としています。
- 記事提供元:東部・南部アフリカ地域:学齢期の子ども6,900万人が学校通えず【プレスリリース】|PR TIMES